記事一覧

新たな安全神話か

新たな安全神話か

 国は、福島事故後の新規制基準では過酷事故が発生してもフィルタベント等によって大量の放射性物質が放出されることはないとして、本年に新たに被ばく線量シミュレーションを行いました。
 また、新潟県も国に倣って柏崎刈羽原発版のシミュレーションを行うと発表され、県議会でも異論が出ています。
 このシミュレーションには大きな問題があると報道されています。①事故時の放出量を大幅に少なく想定していること(福島事故の一万分の一程度) ②原発は第1層から5層までの深層防護の考え方で安全対策が行われており、1層の「そもそも異常を発生させない」から始まって、「異常が起きても事故に発展させない」などがあり、4層で「重大事故に発展した場合でも影響を最小化する」としており、フィルタベントは4層の対策です。1層の対策が失敗しても2層の対策で対応、2層が失敗しても3層で対応という考え方です。そして、4層が失敗した場合の5層は放射性物質が放出された場合の避難などとなっています。
 国や県の姿勢は、深層防護の考え方にも反しているだけでなく、最悪の事態を想定することが基本の危機管理上も問題があります。国や県が行う4層が失敗しない前提でのシミュレーションにどんな意味があるのでしょうか。その答えは12月15日に長岡市で行われた原発に関する国の説明会で垣間見られました。能登半島地震を受けて複合災害時の屋内退避や避難への不安が高まっており、参加者から「屋内退避や避難などできるのか」との質問に対し「大勢の市民が避難する想定ではない。なぜなら~」として、配布してあった資料で国の行ったシミュレーションを説明しようとしたのです。会場から声が上がって答弁が別方向に進み説明はされませんでしたが、事故の影響が軽微であるとの説明にも使うようです。
 放射性物質の放出量が微量との前提で行ったシミュレーションでは、影響は軽微との結果が出ることは当然です。県の行うシミュレーションでも「重大事故に至っても屋内退避や避難などする必要はなく、通常の生活ができます」といったような結果がでる可能性が高いと思います。新規制基準で安全度は高まったと考えますが、絶対の安全はないはずです。原発は安全神話を作り出さないと稼働できないものなのでしょう。
 また、16日の総務委員会で「県が行うシミュレーションの前提が甘すぎるので、厳しい前提条件でも行うように現段階で県に申し入れるべきだ」と質問しましたが「まずは県のシミュレーション結果を見る」との答弁でした。長岡市の原発政策は「市民の安心安全のため、必要なことは国・県・事業者に求める」ことを基本姿勢としていますが、事前了解権などの肝心な点については腰が引けています。