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藤原 寿和 さん

藤原 寿和 さん

  • 2000年12月13日(水) 00時00分
  • 分類:活動
  • 投稿者:admin

 12月11日、東京で藤原さんにお会いしてきました。藤原さんは先月に村上市で開かれた「森と自然を守る会」で講師を務められ、その時の縁で今回お話を伺う事ができました。通常、講演会にお呼びするとウン十万円の講演料なのでしょうが、私一人の為にメシ代だけで4時間もお話頂きました。感謝申し上げるとともに、「恩返しの為にも頑張らねば」との思いを強くしました。
 藤原さんの肩書きは「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク事務局長」「廃棄物処分場問題全国ネットワーク事務局員」「化学物質問題市民研究会代表」「残土・産廃ネットワーク・ちば代表」「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議常任幹事」です。科学的に裏打ちされた理論と数多くの経験に基いた話を村上で初めて聞いた時に、もっと教えて欲しいと思ったのです。
この日の主な話題は以下の通りです。

・ロードプライシング…これは自動車を運転して特定の地域に入る場合に料金を支払わなければならない制度で、大気汚染の軽減や渋滞解消の一つのツールであり、導入している国もあります。
私は、この度始めてこの言葉を知ったのですが、実は以前から「長岡の信濃川に架かる橋に料金所を設けて、自動車から通行料を徴収すれば(バスなどの公共交通機関は免除)マイカーの乗合・バス利用・自転車利用が促進されて、環境にやさしい街に一歩近づけるだろう(当然、税収もアップ)」との思いがありました。この考えに、しっかりした理論が存在している事にビックリ(とはいえ、よく考えれば当然のことではあるが)。

・工場やごみ焼却場からの排ガスについて…「排ガスを調査した結果、問題なし」となっていても多くの問題がある。例えばごみ焼却場の検査では、施設の立ち上げ時(燃え始め)と立ち下げ時(燃え終わり)に有害物質が発生し易いが、途中の安定焼却時に測定してはいないか?。当日の気象はどうか?風が強いと有害物質が拡散し数値が低くでる。調査日に生ゴミの焼却をやめたり(生ゴミを燃やすと燃焼温度が低下しダイオキシンが生成しやすい)、プラスチックの焼却(ダイオキシン発生の元凶)を止めたりしていないか。

・ダイオキシン測定…法律によると、土壌中のダイオキシン測定は地表から5㎝の土を採集して測るとのこと。しかし、実際に住民に影響を及ぼすのは(農地は別にして)ほとんど地表面に限られるし、通常は地表面の濃度が一番高い。地表から5㎝の土壌中の濃度を調べれば、数値が低くなるのも当然。また、ゴミ焼却場からの排ガス規制(環境先進国では0.1ナノグラムなのに対し日本は800倍の80ナノグラム)については、80ナノグラムにすると現在の焼却場の90%が改修しなくて済むが、先進国並にするとほとんどの焼却場が使えなくなる現状を考慮した可能性が強いとのこと。更に土壌規制について、農地が規制から除外されたのは農林水産省の力が働いた可能性が強いとのこと…。これらの事は私も知ってはいましたが、改めて「一体この国は何を大切にして意思決定しているのだろうか」と感じます。

・産廃処分場…豊田市の事例では、産廃業者の報告書には「問題なし」となっていたが、近所の小学校が授業の一環として毎日観察した結果、黒煙が上がっていた(不完全燃焼の証拠)等の事実が発覚し、市が調査したところ基準値オーバーであった。また、福井県の事例では、産廃処分場の地下水汚染を観測する為のモニタリング井戸は「異常なし」となっていたが、その井戸は処分場からの地下水脈から外れていた。

これ以外にも大変参考になる話をうかがう事ができました。
最後に「藤原さんがこんなに一生懸命に活動される原点はなんですか」と尋ねると、「幼い頃から科学が好きだったが、水俣病問題を知ったことが転機です」との答えが返って来ました。