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一般質問が不許可になった大筋の経緯と理由及び反論

今回の件は、協議の過程と不許可になった理由に問題があったと考えています。
正確を期すために長文となりました。

6月25日 各派代表者会議(以下 各派代)において、6月議会の諏佐・関の官製談合事件についての一般質問に対して、全ての会派から抗議・意見があった。

6月29日 議長・副議長から諏佐・関が交互に呼ばれ、各派代での抗議内容を口頭で伝達され、次回の各派代までに回答するよう要請された。重大な問題なので、議長と関で文書にてやり取りすることを確認。諏佐への指摘である「議員(質問者)は答弁者を指定してはならない(市長の答弁を求める、〇〇部長の答弁を求める等)」については、何の根拠もない指摘であることが後日判明。

7月2日 議長から呼び出しを受け、文書ではなく口頭でやり取りすると伝達される。我々の回答に対して各派代側から再度の抗議や意見があった場合には文書にて行うと確認。

7月20日 議長・福議長に、我々の回答を口頭にて伝達。関は参考資料としての文書も提出(*1)。

7月21日 各派代に我々の回答が何故か文書で配布され、それに対する意見を7月31日の各派代で取りまとめることが決定。

7月31日 各派代で、我々の回答に対する各会派の意見一覧が文書で示される。この文書は各派代終了後に回収された。

8月3日 議長・副議長から各派代で再度の抗議・意見があったと伝達されるが、具体的な内容については説明なし。各派代で配布された文書を我々にも提示するよう求めたが、拒絶された。

8月19日 議長から、議会としても弁護士に刑事確定訴訟記録法(以下 記録法)に対する見解を求めたことと、その上で諏佐・関が確定記録を引用した質問を通告した場合に、受付拒否か議場での発言を制止する可能性があると正式に伝達された(以前は行政側の弁護士見解を用いていた)。中立な立場から我々サイドの弁護士見解を見たうえでの判断を議長に求めたが、受け入れられなかった。議会側の弁護士見解と議長見解を文書で示すよう求めたが、口頭での読み上げをメモすることのみが許可された(*2)。

8月24日 諏佐・関が弁護士の見解(*3)を添付して官製談合事件についての一般質問通告書を提出。それぞれの通告項目の一部が不許可となり、許可された項目のみで質問するよう議長から指導された。諏佐は一部分だけの質問はできないと回答。関は回答保留。
  
8月25日 関が、許可された項目でも確定記録引用なしには質問できないと回答。結果として、関・諏佐の通告項目全てに不許可通知が出される。事務局が項目空欄の通告書を取り扱えないとのことで、我々の通告を取り下げ。

*1
議長・副議長から関への指摘
①確定記録の内容を、議場という公の場で扱うことには問題がある。
②市長(事件当時の副市長)に対し「悪に手を染めたわけではない」と言いながらも、「官製談合事件のキーマン」と発言したのは記録法第6条の関係人の名誉を害することに抵触する。
③長岡市議会基本条例において、本会議では総合的・大局的な質問、委員会では個々・具体的な質問と定めている。関の質問は細部にわたるものであり、基本条例違反。
④「質問は要望や意見で終わらない」とする各派代表者会議の申し合わせ事項に反する。行政側に答弁を求めず(弁明の場を与えず)、意見だけを述べるのは印象操作にあたる。

指摘への回答
①問題があるとの根拠が見つからない
・記録法の注釈書においても、公の場で扱うことの違法性は指摘されていない
・そもそも、検察庁に対する閲覧申請の際に「市議会における活発な議論の参考とする」と申請理由を明記しており、そのうえで申請許可が下りている
②記録法第6条の関係人の名誉を害することに抵触しない
・みだりに用いているわけではない
・行政の行った事務を監視・追求するのは議会の役割である
・官製談合という公益に反する事件について公人に問いただしているのであるから名誉を害しているとは言えない
③総合的かつ大局的に根幹を質すために、細部にわたる質問が必要な場合がある。一般質問の大項目が、例えば「〇〇小学校の改修について」や「市道〇〇号線について」もしくは「〇〇地域の○○問題について」というものであれば基本条例違反の疑いも生じると思われるが、本件に関しては市長自らが異常事態と述べた市政の大事件についての質問であるので、指摘はあたらないと考える
④そもそも会派無所属議員は代表者会議に参加できないことになっている
・各派代表者会議における決定事項や申し合わせ事項は会派所属議員に対して及ぶものである
・地方議会における質疑と質問の違いについては「質疑は疑問点を問いただし解明するもので議員の意見を述べられない。質問は疑問点をただし議員の意見を述べることができる」と解釈されている。事実として、当議会でも意見や要望を述べて答弁を求めない質問(一般質問、所管事項に関する質問)は多い。
・「一般質問では当該団体の事務についての疑問点と自己の意見を述べることができる」との解釈が成り立つことから、代表者会議の申し合わせ事項には正当な根拠がないものと考える。
・二元代表制・機関対立主義としての地方議会は、できるだけ多様な議論形態、できるだけ多様な意思表示方法を法律の範囲内で確保すべきであって、議会が自ら発言範囲や意思表示方法等を狭めるべきではない。

*2
△〇弁護士の見解(議長による読み上げをメモ) 20.8.19
6月議会の諏佐・関両議員の質問は記録法第6条に反する発言がある。確定記録を引用して犯人の供述や証言と市の見解の食い違いを指摘している点である。犯人は執行猶予とはいえ刑罰も確定し、懲戒処分等の社会的制裁も受け、現在は事実上の謹慎状態にある中で、上記のような行為が公の場で行われることはあってはならない。質問において特定の個人名が挙げられていなくても聞き手が当該者を類推できれば上記規程に違反する。関議員の質問の場合は文脈からして犯人の供述を引用していることが明らかである。両議員は確定記録の性質や価値にかかわる認識を誤っている。確定記録の内容が事実であるとの前提で質問すること自体が失当である。
議会においては、6条違反の理由を述べたうえで答弁を拒否することも考えられる。

議長の見解(口頭で述べたものをメモ) 20.8.19
●3月・6月議会で確定記録を引用し、犯人の供述と市の見解の食い違いを指摘したことは違法である。
●本件の質問(次回の質問)は、その本質が犯人の供述等(県議の要請が端緒となり、乱数を使用して工事価格の類推を不可能とした)を基準にして質問が組み立てられることが推定される。
●確定記録の使用につき、適法な部分と違法な部分を分離することは事実上不可能である。犯人への不利益(人権侵害)は、犯人から市に対して国家賠償を求められる可能性が理論上あり得る。
●犯人の供述等を直接引用しなくても、犯人の供述等を間接的に引用していると聞き手が認識するおそれが極めて高いと言わざるを得ず、市が再度当該供述等を否定することで実質的に従来と同様の不利益が生じることになる。
●これらのリスクがある以上、今後の引用は認められない。

*3
齋藤弁護士の見解(抜粋)
●確定記録の使途について
記録法6条は、「保管記録を閲覧した者は、知り得た事項をみだりに用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない」と定める。
閲覧により知り得た事項を「みだりに用い」、かつ、犯人の改善を妨げる等する行為が禁止されていることが明らかである。よって、「みだりに用い」ていない場合に6条に違反しないことは明らかである。
「みだりに用いて」とは、「正当な理由がないのに」との意味である(福島至「コンメンタール刑事確定訴訟記録法」144頁。なお、同書は、押切謙徳他「注釈・刑事確定訴訟記録法」を引用しており、かかる解釈は学説・実務において争いのないものである)。
そして、地方議会での質問において知り得た事項を用いることは、まさに「正当な理由」がある場合である。
よって、関議員らにおいて、保管記録を閲覧することで知り得た内容をもとに議会で質問をすることは「みだりに用い」ることには該当しない。
●確定記録を引用して犯人の供述や証言と市の見解の食い違いを指摘したとの点
このような行為を違法とすべき法的根拠はないし、△〇弁護士も許されないと解すべき理由の説明をしていない。
●「犯人」の立場との関係で許されないとの点
△〇弁護士は、「犯人は執行猶予とはいえ刑罰も確定し ~ 上記規程に違反する」と述べたようである。
その趣旨は不明瞭であるが、記録法6条の「関係人の名誉若しくは平穏を害する行為をしてはならない」としているところをとらえているのかもしれない。
しかし、上記したとおり、「みだりに用い」た場合であることが必要条件である。よって、「みだりに用い」ていない本件において、記録法6条は適用されない。
なお、記録法6条とは別に、名誉棄損の問題となる可能性はある。しかし、最高裁昭和三七年(オ)第八一五号同四一年六月二三日第一小法廷判決・民集二〇巻五号一一一八頁が述べるように、人の社会的評価を低下させる発言であっても、「その行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図るものである場合には、摘示された事実がその重要な部分において真実であることの証明があれば、同行為には違法性がなく、また、真実であることの証明がなくても、行為者がそれを真実と信ずるについて相当の理由があるときは、同行為には故意又は過失がなく、不法行為は成立しない」ものである。
関議員らは、保管記録中の供述調書等をもとに質問をしている。人は虚偽供述する動機がなければ虚偽供述をしないし、長岡市の談合事件において供述調書の任意性・信用性が争われた形跡もない。そうであれば、供述調書等の記載内容をもとに質問をすることは、少なくとも相当の理由に基づくものと言える。
関議員らは、談合の実態解明という公益目的で、談合の実態という公共の利害に関する事項について質問をしたものでもある。
よって、関議員らの行為は、名誉棄損としても違法とされる余地はない。
●確定記録の性質や価値
△〇弁護士は、「関議員の質問の場合は文脈からして ~ 確定記録の内容が事実であるとの前提で質問すること自体が失当である」としている。
関議員らの質問が違法であることの根拠を述べておらず、単に法律を離れた当不当の話をしているだけである。
いずれにせよ、△〇弁護士の立論を前提とすると、議会においては行政等が認めた公式見解的な事実に基づいてのみ質問をなしうることとなるが、かかる結論が非常識であることは明らかである。