| 日時 | 平成29年2月9日 |
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| 用件 | 計画から実践へ - 真価が問われる公共施設マネジメント |
公共施設マネジメント 「拡充」から「縮充」への発想転換
東洋大学客員教授 南 学 氏
1 現状
(1)3年前、総務省が自治体に本年度末までに公共施設管理計画の策定を指示 ①東村山市では、今後30年間で公共施設の大規模修繕と建替えに 年平均30億円必要だが、財源は年に20億円ほどの見通し ②習志野市などの先進地では、しっかりした計画を策定したが合意形成が 難しく事業の進捗は遅い ・少数だが施設への愛着を持つ市民がネック ・職員の知識、意欲、情熱、経験の欠如が問題 (2)時限爆弾としての公共施設 ①市民の生命と財産を脅かす:天井崩落など ②業務上過失致死傷罪が職員に適用される:流れるプールでの死亡事故 ③更新費用の財源確保が中心課題
2 公会計改革との結合
・建物と設備の情報(メンテナンスが必要な時期と費用)で更新の優先度 (いつ見限るのかも含めて)を判断する ・町田市、江戸川区は事業別・施設別の財務諸表でフルコストを把握し、 個別プランを作成しており先進的 ・運営から経営への発想転換
3 公共施設マネジメントの方程式
(1)財源確保(課題)=総面積の統廃合(面積圧縮率)+ 民営化(経費圧縮率)+ 受益者負担増(受益偏在改善率)+ 遊休資産活用(売却・貸付率) ①単純な面積圧縮ではない ②民営化では官民給与格差(10:7.5)が生きる ③受益者負担増:図書館の例 ・図書館は利用率の高い施設だが、住民の1割程度しか利用していない 貸出登録率は高いが死亡や転居人も含まれている 利用者の1割が9割の貸出しを受けている(ヘビーユーザー) ・貸出し冊数よりも諸外国のように入館者数で評価すべき より多くの人に利用してもらう工夫 料金アップ ④遊休資産活用:学校の例 ・学校施設の稼働率=年10ヶ月(80%)×週5日(70%)×日7時間(30%) =16.8%と低い ・特に屋外プールは3週間程度の使用で年間500万円程度の維持費 →屋内プールで全校共有化もあり得る(専門の水泳指導員や巡回バスも 検討の余地あり) ・音楽室の防音性を上げて、スタジオとして貸し出せる (2)注目される大阪での新事例 ①大阪城天守閣を博物館から観光拠点にした ②博物館機能は直営を維持 ③指定管理料はマイナス(電通が受注し3億円が市に入る) ④魅力を高める施設を事業者の負担で整備した(遊覧船、巡回バス、 レストラン、屋台村、テーマパーク等) ⑤性格の異なる複数施設は指定管理が最適 (3)公共施設の包括管理(まんのう町、我孫子市、流山市) ①ある調査では1つの管理契約に10万円の人件費がかかっていた ②仕様書も見積書もチェックできていない実態 ③数百本の無責任契約でコストは数千万円 → 一本化で安全責任と経費削減 ④地元業者にもメリット ⑤予算編成と執行の工夫で包括管理を行える
実践先行型 ~成果を生み出す公共施設マネジメント~
特定非営利活動法人 日本PFI・PPP協会 業務部長 寺沢 弘樹 氏
1 公共施設を取り巻く環境
(1)公共施設やインフラの将来コスト計算 ・国土交通省所管インフラは2037年に維持管理費が不足 ・滝川市では今後40年間の公共施設更新に現在の3.2倍の経費が必要、 薩摩川内市では2.4倍 ・全自治体共通の事象であり、解決に向けたアクション(自分たちの 街の生き方の構築)に踏み出すことが求められている (2)富津市の財政危機宣言(2014年)に見る単年度会計と現金主義の落とし穴 ①市債への依存と財政調整基金の取り崩し これにより実質収支が赤字に転落することを回避し、単年度会計の 財政指標は健全だった ②財政調整基金の残高減少と枯渇 ①の手法が取れなくなり、実質収支が赤字転落 ③抑制する術を失った赤字累積 財政再建基準を突破 ④基金残高があるうちは表面化しない ⑤普通交付税減額や臨時財政対策債の措置がなされなかった場合には 富津市のみの問題ではなくなる (3)国に自治体を助ける力はあるか ①国の財政は自転車操業状態で自治体より厳しい ②臨時財政対策債の発行額は増加傾向 ・その一方で交付税の算定方法の見直し ・今を凌ぐことが精一杯で、未来へ向けたマネジメントができていない ③国が自治体を助けてくれる時代ではない (4)朽ちるインフラ ・日本の公共投資は1964年の東京オリンピック前後に大きな山を 形成したが技術的に未熟だったため、50年後の現在は大きな問題 ・笹子トンネル崩落事故などが起きている ・老朽化は確実に起きる「緩やかな震災」と認識する必要
2 包括施設管理業務委託
(1)事業スキーム ①従来の施設管理業務委託 ・各課が所管の施設や設備ごとに保守点検業務を発注 ・事務量、コスト、全体像が見えない ②デザインビルド型包括施設管理業務委託(流山市) ・保守点検業務を一括発注 H25 57百万円/34施設51業務・年を1業務へ集約 H26 63百万円/46施設68業務・年を1業務へ集約 ・プロポーザル+デザインビルド 価、+αサービス、柔軟性、市内業者活用などの基準で募集し、 優先交渉権者と詳細を協議 ・効果 事務量、委託費の削減 民間ノウハウの活用 専門家による定期巡回の実現 +αのサービスで保守管理業務充実 (2)プロセス スケジュール、対象施設・設備の抽出、仕様確認、債務負担行為、 地元業者への配慮、プロポーザルコンペ等についての詳細説明 (3)包括的管理業務委託のメリット ①自治体のメリット ・事務量の大幅な低減(総括部局で一括発注、施設所管課は日常管理) 設備把握、仕様書づくり、見積、予算、契約などの業務が不要 ・スケールメリットによるコスト削減 ・ビルメンテナンスのプロによる質の向上 点検業務の内容と品質をビルメンテナンス業者が一括把握、一次検収 ・施設情報の見える化と効率的な修繕 月例報告、クラウドサーバーの活用 ②民間事業者のメリット(特に地元業者) ・中期(3~5年)の安定した事業 ・大手ビルメンテナンスのノウハウを吸収 ・民間物件の受注機会拡大 良質な地元業者は大手ビルメンテが受注している民間物件の 受注機械が拡大 (4)包括的管理業務委託の留意点 ①意識・考え方 ・縦割り、組織を意識し過ぎない ・性能発注の理解 課題、目的、与条件を考える。仕様書を作ろうとしない ・プロポーザル、随意契約に先入観を持たない より安い高品質サービスを追求 ・地元業者への配慮と過保護のバランス ・民間業者と対等な協議 発注・受注の関係からパートナーとしての信頼関係へ ②技術面 ・メーカー管理の設備(エレベーターや自動ドア等)が多い施設を 含める点検単価が高いのでスケールメリットが出やすい ・24時間開放、清掃が伴う高コスト施設を含める 人件費の割合が高いので工夫によるコスト削減が可能 ・契約期間が異なる業務や配慮が必要な業務を無理に含めない トラブルになりやすい ・汎用性の高い設備を中心に選択 民間物件で考えられる範囲が望ましい ・予算の一本化 職員の人件費と労力の削減にも大きな効果を生み出せる
3 発想の転換
公共施設の有効活用についての事例紹介があった
新たな会計情報によるマネジメント・コントロール
ジャパンシステム(株) 松村 俊英 氏
1 論点整理
(1)総務省 ・モノに関する会計情報がなかった ・H30.3月末までに発生主義、複式簿記の導入、固定資産台帳の整備を 地方公共団体に要請 ・固定資産台帳は公共施設等のマネジメントにも活用可能 ・統一基準による財務諸類等によって団体間での比較が可能となる (2)発生主義の特徴と意義 ①発生主義(企業会計)導入の理由 ・減価償却費や引当金など「見えなかったコスト」の明示 現行の現金主義は現金の動きだけを表す ・住民への説明責任の向上 ・日々の仕訳によって月次や四半期での決算が可能 ②導入のメリット ・将来の税負担に対する意識を醸成できる ・フルコスト分析と政策評価への活用 ・債権、債務管理の高度化 ③どのように変わるか ・従来の歳入歳出決算はそのまま ・補助資料として発生ベースの決算書を提示 ・課別、事業別、施設別などの財務情報を提示 ④何が必要か ・団体保有資産の一元管理(固定資産台帳の作成) ・複式簿記に対応した会計システム ・職員研修
2 資産情報の活用
(1)将来の資産更新必要額 建物、公共施設(道路等含む)別、年度別の資産更新必要額を導き出せる (2)施設簡易評価が可能となる ①建物劣化度(安全性):建物性能(竣工年、大規模改修年)、耐震性能 ②建物管理度(健全性):法定点検、劣化診断、消防点検 ③運用費用度(経済性):フロー(光熱水費、人件費、保守点検費、 使用料など)、ストック(補修費) ④立地環境性(有用性):人口密度、各種ハザードマップ ⑤施設管理度(快適性):バリアフリー度、法定点検、劣化診断 ⑥施設活用度(利便性):活用率(利用者数)、稼働率(開館日数、開館時間) (3)施設別の方針 ①用途廃止 ②維持継続 ③更新 ④利活用(他施設への移転や他施設との統廃合)
