北海道の山中で置き去りにされ行方不明となった7歳男児、見つかって一安心です。しかし、それは次なる心配を生み出しました。
今回の件が男児の心にどれ程の傷を与えたのかということです。
(ここからは、男児の性格や親子関係が分からないので一般論となります)
一度置き去りにした時は男児が車に追いついたので、再度置き去りにしたとのこと。男児は泣きじゃくり混乱して車が立ち去った方向とは逆方向に歩いて行ってしまったそうです。2度にわたって置き去りにされたことは相当なショックを感じているのではないかと思われます。
子にとって、親は神様のような存在です。親は見返りを要求しない愛情に従って、自分が生きていくうえで必要な自己肯定感や衣食住を与え、所作や知恵を教えて保護してくれるからです。
神様から一時的とはいえ徹底的に見放された心の傷は深く、今後の彼の生き方に大きな影響を与えるのではないかと思います。
しかし、親といっても完璧な親はいませんから、子どもとの関係に問題を抱えることは当たり前です。親子のトラブルによる心の傷は、それまでの信頼関係や周囲の人との人間関係の中で何とか回復することが多いと思います。
私の子ども時代にはよくある話だったと思いますが、私も家を叩き出されたことが数回あります(私は第一子だったのですが、2歳下と4歳下に妹と弟がいて、親の愛情や注目を一身に受けられなくなったストレスにより、いじめや我がままな行動をとっていたことが家を追い出された原因です)。しかし、今日まで何とか生きてこられましたから、ある程度は大丈夫だと思います(当然、個人差はありますが)。
親は親の考える方法で子を正そうとしているはずなので責めることはできないのですが、感情的で反射的な反応になっていることも多いのではないでしょうか。親も「感情的に怒る」のではなく「情熱的に叱る」努力が必要で、その努力を通じて人間的な成熟が進むと思います。最近では「アンガーコントロール」も注目されるようになってきましたね。
さらに言うと、今回の事件のように恐怖を与えることによって人(子)をコントロールすることは避けるべきだと思います。親子関係に限らず全ての人間関係において、恐怖心をあおって人をコントロールすることは不健全です。
男児の今後を心配しましたが、世の中には更に過酷な環境で生きている人々も
います。事件や災害や戦争などで近親者を失った人、見放された人、虐待を受けた人、等々。様々な人が様々な心の傷を背負って生きています。しかし、大きな希望は、自らの心の傷は、自ら癒すことができるということです。もちろん、他人との関わりで傷が癒されることもありますし、それが必要な状況もありますが、究極は他人に頼らなくとも自分自身に向き合うことで癒すことができるのです(子どもは難しいと思います)。セルフカウンセリングといった分野になりますが、これほど心強いものはないと思います。