前空幕長の田母神氏が参考人招致され、 「日本が悪かったという論が多すぎる。 日本をいい国だと思わなければ、愛国心を持たせなければ、国は守れないと思った」といった旨の発言があったようです。
今回の一連の件で、二つのことが心に引っ掛かりました。
一つ目は「愛国心」。
今の日本では、「人に優しく」「人を愛せよ」「国を愛せよ」「いじめや虐待はいけない」等など、他者に対して「どうしたら良い」とか「どうしたら悪い」といったことのみが教えられているようです。「国を愛せよ」と繰り返し言って愛国心を植え付けることは可能だとは思いますが、歪んだ愛国心になってしまうのではないでしょうか。愛国心は自然に発露するのが理想でしょう。そして、その原点は自己愛だと思います。自分が好き→自分と縁の深い家族が好き→自分と家族の生活の基盤である地域社会が好き→自分や家族や地域が繋がっている国家が好き→国家が存在している地球や人類が好き と発展していくのが正常な愛国心の育み方だと思います。例えば、自分自身のことさえ愛せないのに、他人や国家を愛することができるでしょうか? 表面的に出来たとしても、それは歪んだ愛になってしまうのではないでしょうか。自分を本当に愛するには自分自身と向き合い、見つめなければなりません。向き合うことなしに自身を愛すると歪んだ自己愛になる可能性があると思います。そして、自分と向き合い、自分を愛した人が、他者と向き合い愛することが出来るようになるのです。
現代の日本では、この最も基本となる「自分自身と向き合い、見つめる」という作業が教えられていないと感じるのは私だけではないようです。
二つ目は「反省」です。
過去の反省をすることと、自虐的になることは別物です。反省することによって、人も国家も成長するものだと思います。逆に、反省することがなく、何をやっても良としたならば、独善的な人や国家になってしまうでしょう。人も国家も何らかの原因で過ちを犯すことがあります。しかし、そこで反省し、謝罪し、過ちを繰り返さないということは、とても崇高な行為であって、本当に反省した人や国家は前向きになるものだと思います。
反省=自虐との捉え方は、表面的な○×で人を評価する風潮の表れだと思います。
ところで、ここまで書いて新たに感じるのは「自衛隊って世界の軍隊の中で最も崇高な精神が要求されている組織ではないか」ということです。世界の軍隊は「相手国が悪いから」とか「相手国が憎いから」とか「自国の利益の為」とか「自国は絶対正しい」という歪んだ愛国心をエネルギーにして組織を成り立たせているように感じますが(あくまで私の印象ですが、人を人と思わせない訓練なんかはしているようです。また、そうしなければ軍隊というものは維持できないのでしょう)、自衛隊の場合は創設の経緯や国家理念からしてそうであってはならない気がします。
* 自衛隊や日本の平和外交についての私の考えは平成18年3月27日の長岡市議会本会議で述べていますので、議会HPから議事録検索で見ることができます。