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子供たちの脳に何が起きているか に参加

子供たちの脳に何が起きているか に参加

日時平成18年10月22日
場所豊島区立生活産業プラザ
用件子供たちの脳に何が起きているか に参加

発達障害の一因としての環境汚染

            東京都神経科学総合研究所  黒田洋一郎 氏


1 序論

・脳科学の最新の知識と技術が発達障害研究にも応用され始め、発達障害の原因については「遺伝の影響ではない」「育て方の問題ではない」「環境化学物質に注意を」などを支持する数々の科学的証拠が明らかになってきた
・観光ホルモンの研究はこれからが本番である
・先進国の人の脳から165種類の化学物質が検出されているが、影響の研究はこれからである
・脳は、多くの化学物質を使って発達・動いているので、外からの人工化学物質に弱い
・脳の発達途中で、ある神経回路がうまくできないと、特定のことがうまくできなくなる
・アスペルガー症候群は4歳頃から、LDやADHDは6歳頃から、キレる・ムカつく(対人・社会行動障害)は思春期から、子育て行動障害は子育て期から、若年性痴呆は40歳頃から始まる



2 発達障害の原因は

(1)脳の発達の仕組みと遺伝と環境
 発達障害の発症過程は、脳科学では「発達期に特定のニューロン回路の形成異常が、遺伝子の働き方(発現)の異常などの原因によって起こり、その回路が支えている高次機能(読み、書き、行動の抑制、対人行動など)が発現する時期になって、その異常が顕在化する」と考えられる

(2)遺伝子よりも環境因子
 発達障害は、化学物質・遺伝子・社会環境の複合汚染の可能性がある

(3)発達障害児の近年の増加は環境因子による
・脳機能や行動障害は日本の子供では17人に1人(2003年文科省)、アメリカでは1960年代から増加・実際に増加しているのかの最終結論は出ていないが、増加しているのであれば、原因は遺伝子変異ではなく環境因子である

(4)最近始まった環境研究
 脳は数多くの遺伝子の順序よい働きで発達するが、最新の脳科学では、遺伝子群の働きを攪乱する環境化学物質の存在が指摘されている



3 環境化学物質による脳の発達の攪乱

(1)環境化学物質汚染が発達障害を起こした例
・胎児性水俣病、PCB汚染(知能低下や多動)、BPA(学習障害)
・PCBは日本人の脳内でもかなりの量が検出されている
・日米とも、化学物質汚染が起こってから発達障害が起こった

(2)環境ホルモンなどによる脳発達遺伝子の働きの異常
 PCBなどがホルモンを介する先天的な異常や、殺虫剤などの農薬により後天的に攪乱される場合がある

(3)原因研究に基づいた早期発見、予防、治療を
 思い知的発達障害を伴うクレチン症では、ヨード不足による甲状腺ホルモン濃度の低下が原因と分かり、予防システムや早期発見、治療法が確立している。軽度発達障害でも、原因が分かれば対応できる。高機能自閉症・LD・ADHDは化学物質汚染で説明が可能である。農薬入りの食べ物は食べない、殺虫剤や除草剤を使わない等の予防法も考えられる