見附市・栃尾市が相次いで法定合併協議会への不参加を表明し、当初描かれていた30万都市は勿論、合併の枠組みが根底から崩れてしまったと言ってもよいでしょう。このような状況では、協議会への参加を既に決定している町村も再考する可能性があるのではないでしょうか。
詰めに入る段階で何故このような状況になったのでしょうか? それはズバリ、結集軸の欠如と考えます(ここで言う結集軸とは将来構想のことで、ビジョンとかグランドデザインとも言えます)。物事が大きく動くときには、結集軸が必要で、特に閉塞感が漂う現状での合併には、先進的・挑戦的・魅力的な将来構想が求められると思います。確かに、合併した場合の将来構想は既に作られており、一部には新時代の息吹が感じられますが、全体としては各市町村のこれまでの計画や特色を貼り付けた印象で、「従来型の発展」からの脱却が図られていないように感じます。では、先進的・挑戦的・魅力的な構想とは何でしょうか。それは「新しい価値を実現する構想」と考えます。そして、その構想作りには、世界や日本の状況を考える必要があり、「THINK GLOBALY、ACT LOCALY(世界的な視野で考えた上での地域活動)」の視点を生かさなくてはなりません。つまり、我々が今までの価値観で一生懸命作ってきた社会の結果である破綻寸前の地球環境や国家財政、凶悪・異常犯罪の増加、貧富の差の拡大、ゆとりを求める人・ストレスを感じる人の増大、等々(まだまだ沢山あると思いますが)の原因を考慮する必要があります。その結果、例えば「“モノの豊かさ”から“心の豊かさ”を追求する地域」ですとか「米百俵精神に基づき“自分だけ・今だけの繁栄”より“みんなの・将来世代の幸福”を実現する地域」、「持続可能な社会の実現」等々、きりがないくらい(人の数だけ)浮かんでくると思います。そして更に、どういった仕組みや制度が必要かという議論に入っていかなくてはなりません。このように、これからの社会・自らの地域をどうしたいのかという根本的な議論の結果として、「やはり合併が必要だ」となったときに合併すればいいのです。国の一時的な財政支援や人口増加というものは手段や結果であって、まちづくりの目的にはならないのです。更に、財政規模(財政の豊かさ)と人口を発展の指標としてきたことも見直さなくてはなりません(財政と人口は無視できませんが)。
さて、自らの地域の未来を深く議論し、議員や住民の間で将来ビジョンを共有するには、それなりの時間が必要です。私がこれまでも訴えているように、財政支援を受けられる平成17年3月という期日にこだわらずに議論を進めることも視野に入れる必要があります。一時的な財政支援を受けるよりも、今、地域の未来を深く考えることのほうが大切だと思うのです。その結果として合併する・しないを決めれば、どちらを選択しても素晴らしい地域ができると考えています。そして今、そのチャンスがやって来たのではないでしょうか。