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環境問題について

環境問題について

  • 2002年11月05日(火) 00時00分
  • 分類:活動
  • 投稿者:admin

 仕事柄、マスコミの知人が沢山います。ある方が、環境問題を特集したいとおっしゃってくださったので、企画会議用に書いた文章の一部を掲載します(これまでの書き込み内容との重複はお許し下さい)。

 国連環境計画(国連の環境部門)は、「温暖化防止については既に手遅れ、熱帯林の破壊も取り返しがつかない」等、地球環境の著しい悪化を報告しています(99年9月20日新潟日報)。「温暖化防止は手遅れ」ですから今後も気温の上昇は続き、益々暑くなり、益々異常気象が頻発し、農作物への影響も、今まで以上となるでしょう。かの有名な宇宙物理学者ホーキング博士も、「1000年後の地球の気温が500℃となる可能性がある」との予測を発表しています。ちなみに、500℃は金星の気温とほぼ同じなので、生物生存の可能性は極めて低いということになるのではないでしょうか。

 また、南極の氷や氷河の融解、海水の膨張による海面上昇も起こっています。海面上昇によって、先ず平野部が水没しますから、これも食糧問題に直結します。更に、NASAの調査により、南極最大のロス棚氷(日本の面積の1.5倍)が予想を上回る速さで崩壊しそうで、その場合数メートルの海面上昇が起き、世界的に甚大な被害が懸念される事が分かりました(01年1月18日毎日新聞)。

 温暖化の原因は二酸化炭素です。二酸化炭素は人間の呼吸や物質が燃焼する際に排出されます。温暖化を招くような多量の二酸化炭素は250年前の産業革命以降の工業化によって右肩上がりで排出されてきました。現在の生活様式では、電気・車・多様な製品を欠かすことは出来ませんが、電気を作る際には二酸化炭素が排出されますし、車もガソリンを燃焼する際に1000人分の二酸化炭素が出ます、様々な製品も生産・流通・使用・廃棄の段階で二酸化炭素が排出されます。つまり、我々の生活が便利・快適・豊かになればなる程、二酸化炭素が排出されてしまうのです。日本は世界でもトップクラスの豊かな国なので、二酸化炭素も世界第4位の排出大国です。国際的な責任が大きいので、「減らします」と宣言していますが、排出量は増え続けているのが現状です。

 日本の環境省がまとめる環境白書の平成13年度版では「地球温暖化や化学物質汚染等で、地球の限界を既に突破」と認識しています(01年5月30日産経新聞)。このまま突っ走れば地球が破綻してしまうのです。我々は持続不可能な社会を作ってしまったのです。

 環境問題以外でも、自殺者の増加・異常犯罪の増加・児童虐待の増加・貧富の格差の増大等、持続不可能な現象が現れてきました。そして、これらの問題解決の糸口が見えないため、不安が増しています。

 そこで、パラダイムシフト(物の見方・考え方の転換)が求められてくるのです。しかしながら、パラダイムシフトの前提として、「現状を良く知る」ことが求められると思います。市民の間で現状認識が共有される前に対応策を話し合っても、話がまとまる事はありません。つまり、「地球はまだまだ大丈夫だ」と思っている人と「地球は破滅してしまう」と思っている人が、これからどうするかを話し合っても物別れに終わってしまいます。議論の前提として、多くの方が「どうも地球がヤバイらしい」と認識する必要があります。

 環境意識という点で、日本は後進国と言わざるを得ません。国立環境研究所の調査では、環境問題について詳しい知識を有する人の割合が、環境先進国であるドイツ人は40%、日本人は10%で、実に4倍の差があります。環境への市民ニーズが発生しませんから、日本政府の対応も鈍くなります。また、内閣府の世論調査においても、地球温暖化問題を知っている人は85%だったのに対し、その対策である京都議定書の内容を知っている人は20%にとどまっています。

 我々は、先ず環境問題の実情を知ることから始めなくてはなりません。