日時 | 平成20年11月26日 |
場所 | PARC自由学校(東京都千代田区) |
用件 | PARC講座「どうする日本の食と農」を受講 |
ここまでできる都市農政
横浜市北部農政事務所 森 能文 氏
1 横浜の都市農政の強み
① 農業専門職を70人配置
② 農家=地主(あらゆる都市農政の要)と密接に顔の繋がっている行政マン
③ 組織風土:施策は現場に聞く。仕事のネタは現場にあり
2 横浜における都市農業の役割と評価
① 農地保全
- 東京都区部:調整区域は殆どなし→農地が減る
- 横浜市:市域の1/4が調整区域。うち1/2が農振地域→農地は減らない
② 横浜市の農業生産額は約100億円(野菜が60%)で県内1、2位。4423戸、6577人の農家。1000軒の個人直売所。全国有数の農業自治体
③ 市民とつくる地産地消推進
はまふうどコンシェルジュ:味わう、巡る、体験する活動で、シェフも参加する。食農教育や環境教育も行う
④ 農家の経営する体験型農園「栽培収穫体験ファーム」:私設農業学校
- 1992年の生産緑地法改正を受けて創設した1年未満契約の学校
- 15年間の開設実績90農園、現在は70農園が運営中
- 相続税納税猶予に耐えうるシステム
- 農地保全策
- 生産緑地&調整区域内農地を対象
- 農家が援農者を育てる時代:省力化→援農による協力化
- 多様な開設農家:口数少なく控えめな旧来型農民、口数多いスーパー農民、親子で教える農民など
- 多様な利用者:会社員、自営業、医者、警察官、公務員、芸術家など
3 都市農業を取り巻く今後の課題
① 全国的に見ても高い後継者率を誇るが、それでも農家の高齢化は深刻
② 相続による非農家化や不在地主の農地保有
③ 高齢者を施設に閉じ込めるのではなく畑へ
④ 生産年齢を超えた膨大な市民は農業、農地管理の担い手に成り得る
4 横浜農政の新たな取り組み
① キーワード
- 都市ならではの多様な市民の多様な暮らし方
- 地産地消から自産自消へ
② 市民による田んぼ&里山保全
③ 企業による団体体験型体験ファーム
- 企業の福利厚生としての畑&田んぼづくり
- 新しいCSR(企業の社会的責任)のあり方:農家支援、脱温暖化
④ ヨコハマ型特定法人貸し付け
- 株式会社はお呼びでない
- 小規模、福祉系、NPO法人こそが都市農業を支える(IT系の例も有り)
⑤ 出身(農家or非農家)、年齢、性別、経営規模、作目を問わず、本当に農業をやりたい人が農地を利用できるシステムづくり