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いま、柏崎刈羽原発の再稼働を問うに参加

日時平成29年8月8日
用件いま、柏崎刈羽原発の再稼働を問うに参加


なぜ福島原発事故は防げなかったのか

原子力資料情報室  山口 幸夫 氏
1 決めるのは誰か
 ①専門家に任せてはならない。福島原発事故で専門家の限界が露呈
 ②住民・市民が決める
・柏崎刈羽の「地域の会」は注目に値する
・韓国では熟議型世論調査を実施
 ③柏崎刈羽原発には中越沖地震での塑性歪み(外力によって生じた歪みで永久に
  残るもの)が残っていると思われる
  ・中越沖地震は想定以上の振動だった
  ・塑性歪みの検出は難しい
  ・新潟県の技術小委員会で議論されたが、技術委員会(親委員会)には
   誤った報告がされた(中越沖地震後の再稼働の際)


2 原子力規制委員会は審査を取り消せ
   2017年7月10日に規制委員会が示した7項目の基本的考え方と、
   それに対する東電社長の回答が幼稚
    例
     規制委員会:原子力事業については経済性よりも安全性追求を
           優先しなくてはならない
     東電社長:私は安全性を疎かにして経済性を優先する考えは
          微塵もありません。決して致しません。


3 今後の課題
   新潟県の4つの検証委員会(検証総括委員会を含む)のなかに
   住民・市民がいない
 → 最終的には住民・市民が判断するべき


柏崎刈羽原発をめぐる地震・地質問題

新潟大学名誉教授  立石 雅昭 氏
・一般的な地震動の議論は40万年前まで遡るが、原発敷地の地震動の
 議論は12~13万年前までしか遡らない
・柏崎刈羽原発敷地周辺の地質に関する規制委員会の審査は
 科学的審査と言えない
・審査書案は敷地内に分布する活断層の活動年代について、東電の
 資料・解釈を一方的に採用したものであり、活断層問題研究会が
 提起している敷地内安田層の堆積年代を誤って評価している
・中子軽石層(NG)が模式的に露出するとする地点を誤認するとともに、
 その地点の柱状は、厚さをはじめ、地層の積み重なりさえ正しく
 示していない。さらに、その年代を13万年とする解釈は、その下位に
 位置する安田層下部の汽水成層の年代を最終間氷期(13~12万年)と
 する東電自体の解釈と整合性がない
・中位段丘を構成する13~12万年前の安田層について、中位段丘地
 表面のみを12~13万年に形成されたとする荒唐無稽な解釈を
 受け入れた審査は杜撰である
・国民や県民が抱く東電への強い不信に向き合うことなく、また、
 度重なる東電の隠ぺいを不問に付し、原発運転資格の適格性を
 容認することは認められない。規制委員会は国民や住民の原発再稼働に
 対する不安や危惧に背を向けている。自らが「安全文化」とは何かを
 問い直すべきである



地域経済と原発 ~リスクへの給付と地域振興という神話~

新潟大学経済学部准教授  藤堂 史明 氏
1 基本的考え方
・経済価値と環境(放射線リスク)はトレードオフにならない
 (次元が違うものを比較できない)
・放射線リスクは医学や科学でなく経済学(費用便益分析)で
 語られてきたことが問題


2 原発立地のリスクとベネフィット
 (1)地域振興による原発立地の利益(ベネフィット)の内容
   ①原発一基の建設に伴い、計画段階から運転期間の間に
    約1400億円が支給される(電源立地地域対策交付金など)
   ②そのほかに、原発の建設・運転時のメンテナンスなどに
    建設・製造・サービス業が関わり、経済的波及効果により
    膨大な経済価値が立地自治体にもたらされるはずであった
 (2)財政状況で見た柏崎市の経済効果
   ①財政力指数0.70は県平均の0.50を上回るが、全国類似90団体中
    48位で同平均0.73を下回る
   ②箱モノ支出が増大したため、施設維持費等による経常的経費が
    大きく、経常的支出比率は89.7%で、県平均89.5%、
    全国類似団体平均88.87%を上回る
    (平成24年度の97.4%からは改善傾向)
   ③潤沢な財源が固定支出を増大させ、長期的には財政状況が悪化


3 柏崎刈羽原発と柏崎市の産業・経済の関係
 (1)40年間のデータが示す実態
   ①柏崎市と周辺自治体との比較
    ・原発の経済効果は経済神話なのではないかとして、
     新潟日報社と2015~2016年に共同研究
    ・産業部門別調査では、1号基建設開始の1970年代から7号機完成の
     1990年代を中心とした時系列変化を全国及び県内の
     同一規模都市(県内では三条市、新発田市)の推移と比較した
   ②製造業
     原発の大きな影響を受けていないと思われる
   ③建設業
     原発建設時期に明らかに大きな生産額の増加が見られると
     ともに、建設終了により生産額が減少している
   ④卸売・小売業
     経済効果が最も大きいと思われる建設期間中から落ち込みが
     始まっている
   ⑤サービス業
     原発の建設・運転による効果は見られない
 (2)経済効果が見られない理由
   ①産業連関上は発生するはずの波及効果見られない。とりわけ、
    建設業から他産業への波及効果が見られない。
    (原子力施設建設の特殊性か)
   ②原子力施設で発生する需要の特殊性や、特定の受注に
    依存することが、他需要の受注体制や営業努力に悪影響を
    与えた可能性


4 「経済効果」は「経済神話」
 (1)地域振興に原発は役立たない
   ①データからは、柏崎市における原発による生産額増大効果は
    建設業において原発建設期に顕著にみられる以外は観察されない
   ②先行して行った「100社調査」でも、一部の直接的に関係する
    業者を除いては原発との関係性が薄いとの考察とも合致
   ③新潟の事例以外については調査の余地がある
 (2)矛盾している「原発」と「地域の自立」
   ①経済効果の矛盾
    ・原子炉立地指針では低人口地域が求められているが、
     リスクに対応したベネフィットを享受して、経済発展・
     人口増大することは矛盾
    ・福島事故では立地指針の低人口地域の想定を超えて汚染が
     広がった
    ・原発から半径30~50㎞以内に都市があること自体が問題

多様な側面から柏崎刈羽原発の問題点が提起された。
地質の問題は専門的で難しいものだったが、国や事業者への疑念が深まるものであった