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効果的な予算・決算審議を考える

日時平成29年8月8日


効果的な予算・決算審議を考える

2017.8.8
(株)地方議会総合研究所  廣瀬 和彦
1 予算に対する修正
 (1)予算に対する否決
   ①当初予算が否決された場合、行政活動の執行が停滞し、地方公共団体の
    行財政運営に重大な支障をきたすので留意が必要
   ②平成27年度予算の議決状況
     可決(附帯決議なし)764市(94%)
     可決(附帯決議あり)25市(3%)
     修正可決 16市(2%)(増額修正はないが検討の価値あり)
     否決 0
     その他 8市(1%)
   ③専決処分に対する不承認
     地方公共団体の長は速やかに当該処置に関して必要と認める措置を
     講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。

 (2)予算に対する修正
   ①修正動議は定数の1/12以上の議員の発議が必要
   ②予算修正の種類
    ・減額修正…特に問題とならない
    ・増額修正…可能だが、地方自治法97条により、地方公共団体の長の
     予算提出権限を侵すことはできない。予算総額を増額する場合と、
     総額は修正せず科目間で増減を行う場合がある。
   ③「長の提出権限を侵す」の解釈
     増額修正しようとする内容、規模、当該予算全体との関連、当該
     地方公共団体の行財政運営における影響度、などが考慮される。

 (3)修正動議と執行科目(目節)
   ①議会が予算について議決権を行使できるのは款項についてだけなので、
    長の提出した歳入歳出予算事項別明細書は議決の対象にならない
   ②しかし、具体的な内容は修正された目節を中心とした事項別明細書が
    なければ分からないため提出の必要がある

 (4)修正動議の提出時期
   ①本会議における修正動議は、委員会審査終了後、若しくは委員長報告後で、
    討論開始前までに提出することとされている
   ②委員会では議員一人でも修正案を提出可能


2 予算に対する修正以外の議会意思の表示
 (1)予算組み替え動議
   ①議員の求める修正事項について、長がこれを認めて予算を再提出する
    ことを求める動議
   ②予算に対する修正が複雑など、議会事務局が限られた会期日数に
    おいて作成することが困難な場合に活用
   ③要件と形式
    ・発議に定数の1/12以上の議員は不必要(市議会規則による)
    ・議員が修正を求めるべき事項を列記
    ・長に予算を撤回し、修正して再提出する旨を記載
   ④修正動議と違い可決しても法的拘束力はない
    ・長は動議を尊重し、予算を修正して再提出
    ・長は動議が可決されても、なんの措置もとらない
    ・長は予算を修正せず、その代わりに次期定例会や翌年度予算に
     動議の内容を実現させる旨を表明する

 (2)予算に対する附帯決議
   ①可決または修正議決した案件に対する委員会の要望、執行上の
    留意事項等を議決でまとめたもの
   ②付帯決議を可決したら終わりではなく、付帯決議への長の対応を
    文書又は口頭で回答させることもできる
   ③議会は附帯決議への執行機関の対応措置を追跡調査する義務がある

 (3)予算に対する執行留保決議
    「標準市議会会議規則69条」表決には条件を付けることが
    できないので、議会が特定の経費の執行留保を条件として予算を
    可決することは認められない → 事実上は要望と同じ


2 決算審査
 (1)認定の考え方
   ①認定の意義
     議会が決算の内容を審査し、予算の執行が適法かつ適正に行われた
     ことを地方公共団体の意思として確認する行為
   ②効果
     執行機関に対して過去における予算執行に関する政治的責任を
     解除するにとどまり、法令に違反する経費の支出等の違法性を阻却し、
     法的な責任を解除するものではない
   ③不認定
     地方公共団体の意思としての収支の確定がなかったことになるが、
     決算の効力に影響はない
 (2)評価を活用すべき
   ①議会による事務事業評価の実施状況
     813市 中 38市 で実施(H27.12月現在) 実施率4.7%
   ②事務事業評価よりも広範な施策評価を行っている議会もある


特に、予算審議における議員や議会の多様な意思表示方法は今後の参考になる。