日時 | 平成28年2月24日 |
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場所 | 日本消費者連盟(東京都) |
用件 | 日消連 2016年 春の連続講座 に参加 |
電磁波ってなんだろう? 暮らしの中の電磁波を学ぶ
天笠 啓祐 氏
1 電磁波とは何か
(1)電気と磁気(電場(電界)・磁場(磁界)) ①モーターと発電機の関係 電気は磁気を作る 磁気は電気を作る ②電場と磁場の人体への影響 ・電場は皮膚の表面に電流を走らせるだけで、体の中に入らない ・磁場は体内に入り込むので健康障害の原因となる ②静磁場と変動磁場 ・静磁場:例えば磁石の持つ磁場。問題を起こさない ・変動磁場:交流電気によってS・N極が入れ替わる。問題あり (2)周波数と波長 ①周波数(1秒間の波の数 単位:ヘルツ、Hz) ②波長(波と波との間の長さ) (3)電磁波の種類 ①電離放射線(ガンマ線、エックス線) ・エネルギー強く、原子と原子を結合させている電子を核から引き 離すので、分子や細胞を傷つける ②光(紫外線、可視光線、赤外線) ③電波(ミリ波、短波など300万メガヘルツ以下) ・エネルギー弱い (4)電磁波の性質 ・放射線である ・周波数によって性質が異なる ・周波数が高いほエネルギーが強い ・電離放射線と電波は体内に入り込むが、光は体表面でとどまる (5)電波の仲間 ①高周波 携帯電話、電子レンジ、テレビやラジオの電波 ②低周波 ・送電線、家電製品(東日本50Hz、西日本60Hz) ・波が漏れてくる
2 電磁波の影響を考える
(1)電磁波の生体への作用 ①電離作用:ガンマ線、エックス線、紫外線の一部 ②非電離作用 ・発熱作用:高周波の電波 ・非熱作用:高周波、低周波の電波で、癌や白血病を引き起こす (2)電磁波の単位 ・低周波は磁気を示すマイクロステラ(μT)(以前はミリガウス) ・高周波は被爆エネルギーを示すmW/㎠ (3)有害性を示す3つの研究 ①地磁気の変動が生物にもたらす影響が分かってきた ②レーダーの発熱作用(目に被害が出る、子どもができにくい) ③送電線がもたらす白血病増加の研究
3 生体の働きと電気
(1)生体は電気で動いている ・神経の情報伝達の基本は電気 ・心電図や脳波などは体内の微弱な電気を計測している (2)電磁波は子どもへの影響がより大きい(磁気は体内で電気を作る) ・細胞分裂とコピーミス ・体内の電気的情報伝達や信号への介入 (3)電気はバイオテクノロジーに用いられている 細胞融合、遺伝子組み換え(エレクトロポレーション法)
4 送電線(変電所)がもたらす健康への影響
(1)送電線(特に高圧送電線)の電磁波と小児白血病への影響から始まる ①1979年ワルトハイマー論文以降 ・強い磁場にいる子どもは、弱い磁場にいる子どもに比べて白血病に なる確率が高まる (2)スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究(1992年) ・0.1μT以下に比べ、0.2μT以上で2.7倍 ・0.1μT以下に比べ、0.3μT以上で3.8倍 ・スウェーデンは送電線近くの学校や保育園などを移設した (3)ラピット計画(米国国会がエネルギー政策法の中で命じた研究) ①NCI(国立がん研究所) ・送電線と小児白血病の関連:0.1μTと0.4μTで6.41倍 ・家電製品(電気毛布、テレビ、カールアイロンなど)と小児白血病 の関連も指摘された (4)国立環境健康科学研究所での科学者の評価 ・発がん性との関連:「可能性あり」が28人中19人 ・小児白血病との関連:「証拠あり(最も強い表現)」が26人中20人 ・職業人の急性リンパ性白血病:「証拠あり」が25人中14人 ・大人の住民の発がん性:「証拠不十分」が25人中24人 (5)送電線や変電所と精子異常、初期流産、低体重児との関連を示す多数 の研究結果が発表された ①ホルモン(メラトニン)への影響は確定している ・メラトニンは24時間リズムを支配しており、脳内ホルモンとも関 連している ②エストロゲンの増加と乳がん ③長期微量の被爆が問題 ④子どもほど影響が大きい