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自燈明

仕事柄、各種学校の卒業式に招いて頂くことがあります。
先日も、ある専門学校の卒業式で祝辞を述べさせていただきました。

経験上、冬季オリンピックが開催された年の卒業式では、オリンピックで活躍した選手のエピソードなどが餞の言葉として語られることが多いように感じます。

ピョンチャン五輪での日本人選手のコメントは、それまでの努力のプロセス(過程)や支援者に関するものが以前より増えたと感じています(私的には達観したような爽やかなコメントが増えて嬉しい)。増えた理由としては、①マスコミ対応の講習を受けている ②メダリストになるために精神面のトレーニングを行ったことで、ある境地に至った ③競技に熱心に取り組むことが自分自身を見つめることにつながった などがあるのではないかと考えています。
プロセスの重要性は以前に述べましたが、それを体現する選手が増えたのは嬉しいことです。例えばスピードスケートの小平選手。金メダルへのプロセスとしては最終段階での出来事ですが、彼女が滑り終わってオリンピックレコードで暫定1位になった場面。沸き立っている観客に対し静まるように促しました。金メダル獲得を最上位目的にしていたのであれば、観客をあおって会場を騒がしくすることなどで、次に滑るライバルの集中力を削ぐという手段もとれたのではないかと思います。

先日の祝辞でも、オリンピックの話から今後の社会人生活でのプロセスの重要性を述べました。しかし、プロセスが大切といっても、山の登り方がいくつもあるように、どのプロセスを選べば良いのかという基準が分からないことも多いと思います。
そこで、お釈迦様が残された「自燈明」の教えです。「人間は明日のことが分からず、人生は暗闇の中を手探りで生きているようなものだ。どこかに光がないかと求めたり、誰か光をあててくれないかと願うのではなく、自らの良心を灯として歩みなさい」という意味だと私は解釈しています。この良心で物事を選択することが大切なのだろうと思います。しかししかし、心を見つめてみると、怠け心、嫉妬心、猜疑心、恐怖心、欲…などがごちゃ混ぜになって見え、どれが良心なのかが分からないことも多いと思います。そんな時でも焦らず慌てず、じっくりと見続けていくと、そのうちに心の中が仕分けされ整理されてきて、なんとなく良心を感じることができるようになるはずです。良心が明確になればなるほど、プロセスを重視するようになると思います。プロセス重視で生きると、結果に左右されること(期待しない結果の場合は落ち込んだり不機嫌になる。期待通りの結果の場合は浮かれたり傲慢になる等)が少なくなるため、爽やかで晴れやかで安定した心理状態を保ちやすくなるので、結果として満足度の高い人生を送ることができるのだと思います。

このような話をしたのですが、20代の私だったら理解できていないでしょう(笑)。
以前に私の中学時代の校長先生のお話(この時も冬季オリンピックの話でしたが私は理解できませんでした)について書きましたが、同じように人生のある時点で思い起してもらえると有難いです。