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災害廃棄物処理現場の視察

災害廃棄物処理現場の視察

日時平成24年4月17日から平成24年4月18日まで2日間
場所宮城県石巻市、女川町
用件災害廃棄物処理現場の視察


●長岡市が東日本大震災によって発生した瓦礫の受け入れを表明したため、被 災地での処理状況を視察した。但し、この時点では搬出元自治体は決まって いない。



●17日 石巻市 石巻ブロック二次仮置き場


1 石巻地区での災害廃棄物処理業務の概要
(1)石巻ブロック概況
宮城県では県全体を4ブロックに分けて災害廃棄物の処理を進めて いる。石巻ブロックは石巻市、東松島市、女川町で構成
このブロックの災害廃棄物発生量は県全体の47%と膨大
  • ブロックの災害廃棄物8,463千t
  • このうち県外処理(リサイクルが多い)は2,940千tを予定
市町が実施できない部分を県が実施する
国の目標は被災後3年以内の処理完了


(2)廃棄物処理の流れ
被災地において粗選別
一次仮置き場
  • 市町内に数か所ある
  • 粗選別と粗破砕
  • 有価物はリサイクルと売却
二次仮置き場(中間処理)
  • 選別、破砕、焼却し最終処分、リサイクルへ
  • このブロックの二次仮置き場は国内最大で、破砕分別能力3,000t/ 日、焼却能力1,500t/日
  • PCBやアスベスト等の有害物質も適切に処理する



2 災害廃棄物の現状
(1)逼迫する仮置き場
  • 重機の入れない個所を除き、散乱した瓦れきの撤去率は100%
  • 現在は家屋解体や海中からの引き上げ瓦れきの解体が主
  • 家屋は14,000棟が要解体で50%が未解体
  • 県東部と北部は平地が少なく仮置き場が不足。そのため、生活空間 近傍にも仮置き場が存在、また、瓦れきの内部発酵で火災が頻発

(2)広域処理について
県外処理2,940千tの内訳
  • 混合ごみ398千t
  • 飼料(汚染なし)40千t
  • 木くずの再生利用568千t(処理の緊急性が高い)
  • 可燃物の焼却1,248千t(処理の緊急性が高い)
  • 廃プラの再生68千t
  • 管理型品目の最終処分163千t(処理の緊急性が高い)
  • 安定型品目(焼却の必要ないもの)の最終処分275千t(処理の緊 急性が高い)
県内処理
  • 石巻以外のブロックでは、今後完成見込みの仮設焼却炉での処理が かなり進む見込み
  • 他ブロックでの焼却処理が完了すれば、石巻ブロックの廃棄物を引 き受けることができる





  • 3 現地視察
    • 二次仮置き場の膨大な廃棄物
    • 建設中の仮設焼却炉



    ●18日 女川町 災害廃棄物処理施設

    1 震災廃棄物について
    (1)概要
    種別ごとの数量、比率(主なもの)
    • 総量444千t
    • 木材84千t(19%)、コンクリート193千t(44%)、金属68千 t(15%)、可燃物65千t(15%)、土砂23千t(5%)
    • そのうち焼却処理対象は106千t

    (2)処理
    一次選別
    • 機械と人手による選別
    • 遺留品、貴重品、危険物のピックアップも行う
    二次選別
    • ベルトコンベアラインに流し、手選別
    • かなり細かく、正確に選別している印象を受けた


    2 東京都による放射能の測定
    • 東京都は女川町の災害廃棄物を受け入れている
    (1)空間線量率
    基準値
    • 選別エリアはバックグランド空間線量率の3倍超は搬出しない
    • 遮蔽線量率は0.01uSv/h超は搬出しない
    事前測定値(H23年12月3日~19日)
      • 選別エリア6地点(地上1m)0.09~0.11μSv/h、バックグラン ドは0.10~0.11uSv/h
      • ストックヤードでの遮蔽線量率(*)0.000~0.003uSv/h
        (*)遮蔽線量率…廃棄物の放射能濃度を測定することが望まし いが、1週間程度かかるため、鉛容器内での計測値からバ ックグランド遮蔽線量を引いた遮蔽線量率を用いる
    事前測定値(H23年8月3日)
    • 選別エリア6地点(地上1m)0.13~0.18μSv/h、バックグラン ドは0.16uSv/h
    • ストックヤードでの遮蔽線量率0.001~0.011uSv/h。0.011は土 砂
    現在の測定体制
    • シンチレーションサーベイメーターで測定
    • バックグランドは10回測定した平均値
    • 選別エリア空間線量率は一時間に一回
    • ストックヤード遮蔽線量率はコンテナごと

    (2)放射能濃度
    事前測定値(H23年9月8日)
    • 133Bq/㎏
    事前測定値(H23年12月7日~19日)
    • 57~71 Bq/㎏
    現在の測定体制
    • 月一回



    3 現地視察
    • 選別現場
    • 搬出現場
    • この測定体制で十分かどうかは別として、サンプリングをはじめと して、決められた作業は高い精度で行われている印象