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市町村議会議員特別セミナーに参加

日時平成24年4月12日から平成24年4月13日まで2日間
場所全国市町村国際文化研修所(滋賀県)
用件市町村議会議員特別セミナーに参加
4月12日

●これからの子育て支援  ― 「地域子育て文化」の再構築をめざして ―

早稲田大学教授 増山 均 氏
1 「子育て支援」の時代

(1)少子化対策
1990年の1.57ショック(合計特殊出生率低下)から子育て支援の 取組が始まる
しかし、少子化対策としての子育て支援 = 親が働きやすい環境づ くりという構図だった
現在の子育て支援は乳幼児期に集中している
現在の3つの課題
  • ミクロ:家庭での親子の関わり
  • マクロ:社会全体での取り組み(例:子ども手当)
  • 中間:地域社会での子育て

(2)地域子育て文化
もともとあったもの(例:子どもによる子守、手伝い)
地域子育てへの支援が必要
  • 子育てとは我が子の育児だけではない
  • 子育てを通じて、親も人間として豊かになることが大切


2 日本の歴史の中の「地域子育て文化」
(1)外国人が賞賛した日本の子ども・子育て(江戸~明治)
日本は子供の天国
父親が子育てに参加している
日本には体罰がない

(2)地域社会全体で子供を育てる仕組み ― 「人練る」「人なす」時代
子育ては子ども自身に任せる(子ども同士の相互教育力を重視)
  • 兄弟、義兄弟の絆(例:けやき兄弟(山形県鶴岡市浜岡地区))
  • 子守(保育労働)を通じた子育て学習
  • 子どもたち(ガキ大将や子ども組)の中での育ちあい
  • 子ども集団の練り上げ(自治・自律)に任せる
  • 子ども同士の相互教育力は東日本大震災でも発揮された
  • 現代は子どもの遊び声が騒音とされる悲劇
  • 現代の母親中心主義の子育ては限界
若者が子どもの手本となり大人へと導いた
  • 子ども組から若者組へ進化していた
  • 若者たちは大人や故老に見守られ指導されていた
  • 地域ぐるみの世代間交流があった(ボランティアの付き合いでは なく、一緒に○○をした)
地域の大人が共同で子供を見守り育てた
  • 生んだ親だけでは育てられないので、何人もの「親」をつくって おいた(例:名付け親、拾い親、烏帽子親)
  • 広島市の日本初のメンター制度(子育て応援団)は要注目
地域社会に子育ての習俗と通過儀礼があった
  • お食い初め、誕生餅、七五三、一三参り
子どもを見守り、諌める地域の守り神がいた
  • お地蔵さん、なまはげ


3 産業化・文明化と「地域子育て文化」の衰弱・解体・喪失
(1)学校教育文化による地域子育て文化の軽視・排除
学校教育はたかだか100年程度の歴史
子育て=遊育+教育+養育、子育て≠学校教育、子育て≠家庭教育、 子育て>教育、家庭=養育(食・寝・雰囲気)

(2)産業構造の転換
第一次産業の衰弱:農業の原理→工業の原理
(3)大転換期としての高度経済成長時代
地域共同体の縁、絆の弱まり
無縁社会、限界集落の進行


4 これからの子育て ― 地域子育て文化の再構築
(1)地域づくり、まちづくり、地域ネットワークへの注目
地域とは、行政区の末端であり、コミュニティであり、価値(風土・ 伝統・文化)共有である

(2)地域の価値を子育てに生かす
子育ては「自然の摂理」「生産労働」に根ざした「生活実感に結び つく会話」が不可欠
子育ては子どもの「内なる自然」に上手に手を入れること
「旬を味わう」ことがもたらす子育て力
  • 旬=自然の恵みの食彩と旨さは、「五感に訴える力」「想像力を喚 起する力」を秘めているので、下記項目の基礎を耕す
  • 感応力=季節感、共に味わう喜び、満たされた幸福感、恵みに感 謝する心
  • 想像力=生産プロセスへの興味、生産する人の苦労への気配り、 ふるさとを想うこころ
  • 生きる力=命を大切にすること、自己肯定感の確認
  • 人間的感情=信じること、希望を持つこと、愛すること
細切れ・いいとこどりではなく全プロセスを体験する (例:ソーメン流しの子育て論)
  • 伐り出すのは難しい
  • 作るのは楽しい
  • 茹で上がるのが待ち遠しい
  • 食べて美味しい
  • 流す役も嬉しい
  • 片付けして清々しい
  • 振り返って懐かしい

(3)子育ては子どもの「いのち」を強くし「たましい」を輝かせること
アニマシオンの原理への注目
  • アニマ=たましいの活性化、子どもの遊び・遊びごころ
  • エデュカシオン=教育
イキイキ(ウキウキ、ワクワク、ハラハラ、ドキドキ)することが 子どもを元気づけ、育てていく原動力


5 子育て支援の土台
 自然エネルギーを吸収できる日光浴・海水浴・森林浴のように、人間浴(つながり・やくわり・ぬくもり)ができる地域社会




●ユニバーサル社会の実現を目指して

(社福)プロップ・ステーション 理事長 竹中 ナミ 氏
1 プロップ・ステーション
(1)プロップとは
支え合うということ
重症心身障害の長女を授かり(現在も全介護を要する)、人生が変わる
  • 社会には色んな人が居ると心底学ぶ
  • 人の成長スピードは一人一人違って当たり前と心底学ぶ
  • 娘は自分の宝で恩師なので、可哀想と呼んでほしくない

(2)活動
米国では障害者をチャレンジド(神から挑戦の機会を与えられた 人々)と呼ぶ
ICTを駆使してチャレンジドの自立と社会参画を支援する:障害者 が納税者になれる日本

(3)理念
すべての人が「支え合うという誇り」を持って生きられるユニバー サル社会の実現を目指す
ユニバーサル社会(共生・共助社会):人がみな、自分の身の丈に あった活躍ができ、お互いに尊重し・支え合う社会


2 ユニバーサル社会の実現に向けて
(1)システム
チャレンジド個人の努力だけでなく、社会全体が「障害によるマイ ナス部分のみを見るのではなく、可能性に着目し、それを引き出す 技術や制度を生み出すこと」が必要
人が自分や社会に挑戦する意欲を持つためには、社会全体の意識転 換と同時に、その人が「支えられる存在」であるだけでなく、「支 える側にもなれる」柔軟なシステムが必要

(2)意識
人は障害の有無に関わりなく「誰かから期待されている時」自分に 誇りが持てる。マイナスだけに注目する福祉は、慈愛が込められて いても人の誇りを奪う
人の力を眠らせることほど「もったいない」ことはない





4月13日

●児童虐待の現状と対策の必要性

子どもの虹情報研修センター 川崎 二三彦 氏
1 はじめに
 深刻な児童虐待は事件は後を絶たない。子どもだけでなく、加害者の 親も苦しむ児童虐待を克服するには、関係機関や職員だけでは解決で きない。社会が抱える困難や矛盾点の解決に取り組まなくてはならな い。

2 「児童虐待の防止等に関する法律」(H12年制定)
(1)目的(第一条)
 「…児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大 な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を 及ぼす…」と認識:虐待は人権侵害ということ
(2)児童虐待の定義(第2条)
 「…保護者がその監護する児童について行う…」:本来は子の人権侵 害を守るべき保護者であるが故に虐待対応は難しい
(3)児童虐待に係る通告
 「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに…通告 しなければならない」

3 児童虐待の実情
(1)虐待対応件数
 厚労省はH2年度から統計を取り始め、この年は1,101件、H22年度 は56,384件で、20年で50倍以上に増加。この背景には、法の制定 などによって社会的認知が進んだことなどの要因もある
(2)虐待の種類
  • H22年度では身体的虐待38%、ネグレクト(養育放棄)33%、心 理的虐待27%、性的虐待3%
  • 当初は身体的虐待が多かった。性的虐待は10年間ほぼ3%である が、最も把握しにくい虐待なので潜在的には更に多いと思われる

(3)主たる虐待者
 この10年あまり、実母の割合がほぼ60%で推移。母親の育児負担( 炊事、遊び相手など)が過重なのではないか。また、虐待死に至るよ うなケースでは継父や内縁男性による暴行が珍しくない

4 虐待死の実情
(1)死亡した子どもの人数
  • H12~22年に780人が虐待死
  • 身体的虐待59%、ネグレクト(車中放置、火遊び、火災を含む) 39%の割合

(2)死亡した子どもの年齢と理由
H21年度に虐待死した子どもの年齢
  • 0歳41%(うち0ヶ月が45%、そのうち0日児が87%)、1 歳16%、2歳6%、3歳14%、4歳4%、5歳6%、7歳4%、 9歳2%、15歳2%
理由
  • 3歳未満は子の存在拒否が最多、3歳以上は「しつけのつもり」 が最多
しつけと虐待
  • しつけと虐待は全く異なるが、区別がつかないとの声もある
  • 民法の懲戒権規定の改正(今年):親権の規定に「子の利益のた めに」という文言が追加
  • 体罰はしつけには必要ないと考える


5 関係機関の対応
  • 虐待死事例にいて、通告があるのは20%程度
  • 児童福祉士数はH13年1480人、H23年2606人で件数増加に追いつ いていない
  • 子どもに危険が及ぶので親子分離するかどうかの判断が難しい


6 児童虐待に対する認知
(1)保護者の認知
 加害者となる保護者は援助を求めようとしない気持ちがかなり強い
(2)子どもの認知
 年齢が高くなるにつれて「不当にひどいことをされたと感じる」割合 が高くなっているので、少しずつ客観的な見方が身につくが、基本的 には子どもが自ら受けている行為を虐待と認識するのは簡単なこと ではない

7 虐待はなぜ起きるか(2000年「健やか親子21」検討会報告書)
(1)多くの親は子ども時代に大人から愛情を受けていなかった
(2)生活にストレス(経済不安・夫婦不和・育児負担など)が積み重なって危機的状況にある
(3)社会的に孤立し、援助者がいない
(4)親にとって意に添わない子(望まぬ妊娠・愛着形成阻害・育てにくい子など)である


8 これからの虐待対応
(1)児童相談所と市町村の連携(H16年の法改正で市町村を位置づけ)
第一義的相談は市町村で、専門的相談は児童相談所という縦の関係 になっている
子育て支援や虐待未然防止などを行う市町村と、法的対応を行う児 童相談所の横の関係(きっちり切り分けない)が必要

(2)虐待そのものを減らす
大人から愛情を受けてこなかった親へのケア
ストレス(経済不安・夫婦不和・育児負担など)を抱える親への手 厚い対策
孤立している親への対策(地域連帯・コミュニティづくりなど)
意に添わない子を持つ親へ、子どもに対する正しい理解の促進を図る

●地域福祉と自治体の役割 ~ 日本一の子育て村を目指して ~

島根県邑南町長 石橋 良治 氏
1 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画での具体的事例
地域支えあいミニデイサービス
  • 生活圏域で近隣の高齢者同士が近所で集い交流し閉じこもり防止を図 っている(介護予防や創作活動など)。34グループ540人
  • 行政の支援はサポートリーダーの育成
介護支援ボランティアの登録、受け入れ機関の登録
  • 元気な高齢者が福祉施設等でボランティア活動を行うことにより、本 人の健康増進や介護予防、生きがいづくりを促進。また、地域の活性 化や住民のつながり強化を図り、高齢社会を乗り切る地域力の醸成を 目指す。
  • 行政の支援はボランティアの実績ポイントにより年間最高5,000円の 町商工会の商品券を支給


2 障害福祉計画・障害者計画での具体的事例
福祉医療
  • 町独自で重度心身障害者やひとり親に対し県の補助金に上乗せ467人 3,515千円/年
通院支援
  • 精神障害者の通院や授産施設への交通費を助成120人2,181千円/年
障害者雇用連絡会
  • 町内の事業所と障害者の就労相談会を実施


3 次世代育成支援行動計画の具体的事例
保育士加配
  • 発達障害などがあっても保護者が受容できない子どもについて、受け 入れ保育所に町単独で加配、7名6,836千円/年
第2子以降保育料無料化
  • 262名34,400千円/年
第一子の保育料負担軽減
  • 国基準より40%軽減、50,000千円/年
保育所完全給食
  • 3歳以上児の主食は国の補助事業から外れていたため米飯持参であっ ったが、夏の衛生管理や冬の冷たいご飯など課題があったため、地元 農家からコシヒカリを購入。
赤ちゃん登校日(小学5年生を対象)
  • 赤ちゃんを通してコミュニケーション力をつける。赤ちゃんの親にと っては、出産した喜びや我が子の10年後のイメージを持て、生徒に とっては自分が生まれた意味や世話する喜びを感じる。
病児保育
  • 公立病院と民間医院に病児保育室を設置し、保育士と看護師を配置
子育て支援関連の保健事業
  • 子どもの医療費無料化:中学校卒業まで保険適用分医療費が無料
  • 一般不妊治療費助成:1年につき上限15万円を3年間助成
  • 予防歯科費用助成:フッ素塗布(3歳半まで)フッ素洗口(中学生まで)全額助成
  • 妊婦一般検診費用助成:国が定める検査項目について全16回分を全 額助成
  • ワクチン予防接種費用全額助成:ヒブ、小児肺炎球菌、子宮頸がん予防接種無料
  • 妊婦歯科検診費用助成:妊婦(5~7ヵ月)の歯科検診費用全額助成