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地方議会議員研修会に参加

日時平成23年10月24日から平成23年10月25日まで2日間
場所京都市 京都リサーチパーク
用件地方議会議員研修会に参加
●10月24日

記念講演 災害から住民をいかに守るか ~防災・減災における国と自治体の役割~

関西学院大学教授 室崎 益輝 氏
1 「防災」と東日本大震災を教訓とした「減災」の考え方
 
防災:防げる災害(例:寝タバコによる火災)
減災:大きな自然に対しての小さな人間のあり方をふまえた対策の 足し算による被害の引き算


2 減災のための対策の足し算と住民視点
       
時間の足し算(持続的取組み):被災者支援や間接被害軽減
手段・手間の足し算(多面的取組み):ヒューマンウェア
空間の足し算(公共的取組み):身近な公共と減災まちづくり
     
  • 大きな公共:大きな道路や大きな公園
  •  
  • 小さな公共:路地裏や小さな空間
人間の足し算(共創的取組み):減災のためのパートナーシップ


3 被災者の立場に立つ支援
  • 阪神淡路大震災の「被災者復興支援会議」(行政と被災者の中間組織だ  が、やや被災者寄り)のような役割が必要
    (1)姿勢:被災者に心を通わせる
       
    支援3原則
    • 被災者の声に耳を傾けて応える(寄り添う)
    • 被災者の勇気や自立を引き出す(引き出す)
    • 被災者から学ぶ姿勢を大切にする(学びあう):支援する側とされる側がWin・Win
    被災度認定、避難所運営、住宅再建支援、建築制限、高台移転など
    • 大岡裁き(法律の柔軟な解釈)が大切
    • 迅速性、正確性、公平性の両立が大切:特に正確性はトラブル減少を生み、迅速性に貢献する
    (2)戦略:暮らしの総体を支える
       
    被災者の住まいだけでなく、生きがいや仕事にも目を向ける
    暮らしの基盤の復興、住宅よりも仕事・雇用
    • 人とのつながり、土地とのつながり(防災に極めて重要)
    • コミュニティサポート、コミュニティワーク


    4 住民の減災リテラシー教育
    (1)ヒューマンウェア(災害に強い住民を育成)
         
    心・・・減災の心や意識を育てる
    技・・・減災の知識や技能を鍛える
    体・・・減災の作法や規範を身につけさせる
    (2)実践:三位一体の減災教育
       
    学校教育、地域教育、家庭教育の展開
    自助、共助、公助
    (3)内容:地域防災活動の再点検(ハウツウものからの脱却)
         
    五感で感じる教育
     触れて学ぶ:まち歩きや触れ合い訪問
    応用力を鍛える教育
     考えて学ぶ:様々な状況を与えて考えさせる
    暮らしに溶け込む教育
     遊んで学ぶ:祭礼や習俗に昇華(賽の神、翌朝の服を準備など)


    5 持続的な減災まちづくり
    (1)持続可能で、安全で安心できる地域社会を構築する
       
    アメニティ(文化)があり、コミュニティがあればセキュリティはおのずからついてくる
    自然や歴史との共生を心がけるとともに、福祉や防犯などの課題との融合を心がける
    (2)運動:まちづくりへの行政支援(住民主体の運動を促す)
         
    仕組みづくり支援:自主防災組織、ワークショップ(井戸端会議)
    ひとづくり支援:リーダー研修、まちづくり教本
    ことづくり支援:包括的支援金、デザインガイド


    6 共創のパートナーシップ
    (1)責任回避という「もたれ合い」システムから自立連携という「助け合い」システムへ
       
    住民と行政の2極構造から、中間組織を加えた3層構造へ
    自助と公助の限界を補完する共助の役割
    阪神大震災で人を助けた比率は、6(自助):3(共助):1(公助)、本来は3:3:3
    (2)組織:多角ネットワークの形成
     減災の正四面体と安心の地域ネットワーク
    • 減災の正四面体:住民、行政、メディア、専門家
    • 安心のネットワーク:住民、行政、CBO、NPO、学校、事業所、専門家
    (3)規範:パートナーシップの原則
     相互信頼と顔の見える関係をつくりあげる4原則
           
    コミュニケーション(情報共有)
    コーディネーション(調整、対等、1+1=3)
    コーオペレーション(協働)
    コラボレーション(一緒に汗をかく)

    特別講義 福島原発事故から何を学ぶか

    元静岡大学教授 深尾 正之 氏
    1 この事故の特徴と処理方法の問題点
    (1)初めての長時間電源喪失
    対応マニュアルがない → 未経験事態に対応不能
    制御室が暗闇、温度や圧力などの測定装置が不作動
    (2)危機管理
    マニュアルにない事態に対応するのが危機管理技術
    事態掌握、点検、対処の優先順位付けの訓練が必要
    炉の構造に精通している人は電力会社より製造会社にいる。 OBをを含めて人材を集め、その人達の助言に対しては責任を問わない措置が必要
    事実の公表を拒み、被害を小さく見せる報告・報道は被害を拡大した。 後出しで都合よく辻褄合わせするのは東電の常套手段


    2 収束に向かっているのか?
    燃料の発熱量は水蒸発量にして1日100t以下に減衰している
    燃料がどのような形で炉の下部に留まっているのか?
    • 圧力容器と格納容器を溶かし、更に流れ出たのか?
    100日たって10sv/hのホットスポットが発電所内のあちこちで発見されるなど、 ビックリする事態が今なお起こっている


    3 電力供給系の近代化のために
    電力会社は地域独占と電力料金総括原価方式で放漫経営 → 送配電と発電の分離が必要
    周波数は60Hzに統一
    熱を使う企業は先ず発電し、その廃熱を利用するコジェネの活用により 総合エネルギー効率80%(最新の火力発電でも50%が限界)
    自然エネルギーの高値購入(EUでは自然エネルギー開発に成功)


    4 将来のエネルギーについて 
    (1)ウラン
    現在稼動中の原子炉の燃料はウラン235で資源量は現在の需給で100年程度
    新興国が原子力依存を強めれば50年で枯渇
    高速増殖炉でウラン238を利用できれば資源量は100倍になるが、 フランスが国威をかけた計画も頓挫。日本の六ヶ所村の再処理施設や「もんじゅ」も動く気配なし。
    核燃料再処理やウラン238の利用が正常に行なわれたとしても、 放射性廃棄物の処理方法はなく、数千~数万年にわたる管理が必要
    人類の歴史上、たまたま20~21世紀の50~100年ほど生きた人間の生活様式のために、 子孫に長期の負の遺産を残すべきでない
    (2)RPS法
    電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を 一定割合以上利用することを義務づけ、新エネルギー等を普及促進させる法律
    現状は、低い買取目標値などで、自然エネルギー活用運動を抑制
    震災後に更新された新RPS法も例外規定があり、運用が課題
    (3)2050年のエネルギー
    2050年までに火力発電も全廃する必要がある
    2007年統計では人類のエネルギー供給は自然エネルギー6%、 原子力6%、化石燃料88%であり、2050年の化石燃料全廃は無理との見方もある
    太陽光は夜間・雨天を平均しても0.1kw/㎡降り注いでいる。 一般家庭でのエネルギー消費量はガス・灯油などを含め2~3kwなので、 20~30㎡に降り注ぐ太陽光と同等。熱利用効率50%とすれば60㎡の面積に降り注ぐ太陽光で賄える
    太陽光から電気への変換効率は現状15%程度で技術革新が必要だが、 熱源利用(太陽熱発電など)であれば様々な応用が可能
    運輸(自動車など)や工業用の高密度エネルギーの供給には工夫が必要。 石油代替には水素(太陽熱発電による電気分解など)が有望
    潮流発電が注目されており、日本にも適地は多い
    植物の太陽エネルギー変換効率は低いが、広域での活用は有効


    5 放射線障害
    (1)放射線被爆
    大量被爆での即死・重症などの因果関係は明白
    ガンなどの晩発性症状の取り扱いは困難
       
    • 確率的な人体への影響:被爆線量が1/10になれば発症率も1/10
    •  
    • 閾値:被爆線量がある値以下なら発症しないという閾値はない
    •  
    • 因果関係:ガン発症した場合、放射線による影響かどうかは不明
    放射線被爆に関しては「合理的に達成できる範囲で、できるだけ低く」が世界的合意
    (2)許容被爆線量
    現実問題として、許容基準の設定は必要
    ICRP勧告
       
    • 一般公衆:1mSv/年
    •  
    • 作業に従事する人:50mSv/年
    •  
    • 内部被爆を過小評価、又は無視しているとの批判がある(米国の 核戦略と強く関連している)
    暫定基準
       
    • 政府は子供を含む一般公衆の暫定基準を20mSv/年としたが、 これは無謀な行為(子供たちは特に影響を受けやすい)





    ●10月25日

    分科会 自治体財政の基礎を学ぶ

    高知大学准教授 霜田 博史 氏
    1 地方財政の仕組みと見方
    (1)地方財政の仕組み
     
    日常生活と地方財政のかかわり
    地方財政の主な仕事:家庭が支えていた生産と生活の社会化が進むと、 公共機関に求められる役割が増す
    (2)地方財政の状況
     
    地方政府の経済的活動
    • 連邦制国家(州の権限が大)と単一制国家(国の権限が大)の違い
    • 日本は、支出は連邦型(地方が大)、収入は単一型(国が大)の為、  国から地方への移転(交付税や補助金)が大
    • 日本は福祉国家としては未成熟:政府支出は公共事業が手厚く、 社会保障が手薄(主要国との比較)
    (3)日本の地方財政制度の特徴
         
    集権的分散システム(神野直彦)
    • 地方財政の自治権が確立せず、地方自治の発展が阻まれている
    • 過大な地方財政調整制度:自主税源が不十分で、ほとんどの団体が  地方交付税の交付団体のため、事実上の国の下部機関として画一的  な行政を行っている
    集権的分散システムのメリット、デメリット
    • メリット
      地方税負担率の不均衡の解消、ナショナルミニマム水準の向上、 自治体による円滑な社会資本整備、国と地方が連動した景気対策
    • デメリット
      自治能力の弱体化、地方財政の浪費性の増加、国と地方の財政赤字の連動
    地方分権議論の高まり(地方分権の2つの流れ)
    • 新自由主義的分権論の潮流
      小さな政府を目指し、自治体の財政的自立を促進(財政再建)
    • 地球環境の維持可能な社会と民主主義の前進を求める潮流
      分権的福祉政府構想で、地方分権の目的を考えるとこの潮流が望ましい。分権と参加を求める


    2 地方主権改革と地方財政の課題
    (1)地方分権改革の流れ
     
    • 新たな問題に対して、自治体による迅速で個性的な対応、地域総合行政のよさを発揮させる
    • 団体自治、住民自治が強化される(自治体の仕事が増えると、住民の無関心は悲劇を招く)
    • 国の機関が国際的な調整業務に集中できる
     
    • 第二次分権改革:地方自治体の自立を目指した地方税源充実確保のための改革が必要
    • 3割自治の問題(現在は3.5~4割)
       
    地方分権を進める理由
    第二次分権改革としての地方税財政改革の提起
    第二次分権改革としての三位一体の改革
    • 経済財政諮問会議「骨太の方針2003」で中央政府と地方政府間の税財政改革の方向が明らかにされた
    • 三位とは、国庫補助負担金、地方交付税、中央から地方への税源移譲を含む税源配分のあり方
    三位一体の改革(2003~2006年)の結果
    • 国から地方への税源移譲3兆円:結果として交付税が減った
    • 国庫補助負担金の廃止、縮減4.4兆円:これにより地方の事業が減り、基準財政需要額が減った
    • 地方交付税の抑制3.4兆円:基準財政需要額が減ったため
    • 実態は補助金改革で、国による財源の吸い上げという結果になった
    (2)民主党の地域主権改革
       
    三位一体改革の反動による民主党政権の誕生と地域主権改革
    • 地域主権改革は定義されているが、地域主権は定義されていない
    • 地域主権改革が目指す国のかたち
      補完性の原則:住民サービスは住民に近い基礎自治体が提供
      住民による選択と責任
    • 国と地方の責任分担の明確化(地方自治体の自立)
      改革の進展で地方公共団体間で行政サービスに差異が生じる
    地域主権改革の課題
    • 何の、誰のための地域主権改革か
    • ナショナルミニマムの充実と地域主権改革は両立するか
    • 地方交付税をめぐる議論
      自主財源主義は理想だが限界があり、一般財源の財政調整機能が 必要であるが、国家財政は急速に悪化


    3 地域経済と地方財政
    (1)日本の地域間経済格差の状況
       
    地方税収の地域間格差
    • 日本の租税収入総額は85.4兆円(H20)、国税が45.8兆円(53.7%)  地方税が39.6兆円(46.3%)
    • 税収の地域格差(H20での人口一人当たり都道府県税額)
      東京都25.6万円、沖縄県8.2万円と3.1倍の格差
    現代日本の地域経済
    • 法人所得は人口規模と経済規模(地域GDP)で決まる
      日本の法人所得を1000とした場合、東京都は236、大阪府は118、 鳥取県は1、高知県は3(人口の格差以上)
    • 預金や貸出金といった金融機能は東京に集中
      日本の貸出金を1000とした場合、東京都は378、大阪府は106、 鳥取県は3、島根県は3
    • 一人当たりの県民所得
      東京都415万円、沖縄県203万円(財政調整により1960年より も格差は縮まった)
    (2)地方圏の経済で公共部門がもつ重要性
       
    現代日本の地域経済と財政の特徴
    • 地方経済では政府部門の存在が極めて重要になっている(経済の財政依存は持続可能性が低い)
      例:高知県では県GDPにおける政府部門の割合は41%
    • 地域経済はコスト高で代替手段(民間)がない
    • 地方経済が公共部門への依存を高めてきた理由
      地域開発政策と地方財政調整制度
    地域開発政策
    • 地域間の経済格差を是正し、国の経済成長を進める政策
    • 5次にわたる全国総合開発計画と特定地域の地域政策
    • 公共事業に社会保障的性格(雇用促進)があった