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ポスト新自由主義の世界

日時平成21年7月6日
場所PARC自由学校(東京都)
用件PARC講座に参加

「ポスト・新自由主義の世界を読む いまこそ資本論 見直されるマルクス」

雑誌編集者  嶋 崇
1 プロローグ
  • 資本論は物理学のニュートン理論のようなもので、現代でも通じる理論
  • 資本論は勘違いされているようであるが、共産主義の本ではなく、資本主義の批判本でもない。資本主義は人類の発展段階の一段階に過ぎない


2 資本論(第1巻)
(1)商品が全ての基礎になる
    商品には2つの価値(性格)の側面がある
        ⅰ 自分の為でなく他人に使われる
        ⅱ 交換によって他人の手に渡る

(2)商品の価値はどう決まるか
売る側は交換価値(金を介して他のものを手に入れる)として商品を作り、買う側は使用価値(例:パンであれば腹を満たす)として商品を買う
使用価値を作り出す(例:パンを作る)のが具体的労働で、交換価値を作り出すのが抽象的一般労働
労働価値説:働いた時間(労働)が商品の価値に変化する

(3)近代経済学の価値理論(価格と価値)
  • マルクス:価格≠価値
  • 近代経済学:価格=価値

(4)お金の登場と価値
貨幣の3つの機能
i 価値の尺度としての貨幣(商品に入っている価値を示す)
ii 流通の手段としての貨幣
iii 貨幣としての貨幣(傷まないため、価値を貯められる)
モノサシとして機能するお金(商品)は等価形態にあるが、モノサシによって計られる側の商品は相対的価値形態にある
・ある商品が一度貨幣になると、単なる商品という以上の性格を身に付け、強大な魔力を発揮する

(5)貨幣が持つ「価値の蓄蔵機能」
貨幣があることで蓄蔵欲が出てくる:蓄蔵貨幣形成の衝動は、その本性上、限度を知らない
蓄蔵のための蓄蔵←これが厄介な問題
  • 奴隷が1000個パンを作っていた時代→奴隷が1000個パンを作って貨幣に換える時代に
  • 貨幣は社会の道徳的破壊者となった

(6)資本主義の価値の作り方
一般的な商取引:求められるのは使用価値
  • W1(商品)―G(貨幣)―W2(商品)で、W1=W2(価値を増やさない)
資本の運動:求めているのは交換価値(お金)
  • G1-W-G2でG1<G2(価値が増える)
資本の運動の推進的動機と目的は「交換価値の増殖」
  • 不変資本(C):原料や機械はそのままでは価値を増やさない。
    不変資本=労働手段(生産手段)=原料+工場や機械など
  • 可変資本(V):余剰価値を加えるのは労働力。資本家が買うのは労働ではなく労働力(労働能力)
  • 余剰価値(m):新たに作られた価値
  • G1-W-G2を分解すると、G1-W(C+V(原料等+賃金))、W(C+V+m)-G2
「労働の生み出した価値」と「労働力の価値」
  • 明日も働けるだけの体力(労働力)を維持する費用(賃金)=生きた個人の再生産<○時間分の労働が生み出した価値
  • 「労働の生み出した価値」のうち、労働者に支払われるのは「労働力の価値」のみ
  • 労働者が交換価値として売る労働力
  • 資本家が使用価値として使う労働

(7)資本の「交換価値の増殖衝動」のもたらす影響
労働者を降伏させる機械化
i作業の単純化(女性や子供の労働問題)
ii労働時間の延長
iii労働強化
生産労働からはじき出される労働者
・1861年イギリスでの人口調査(総人口2006万人、就業可能人口800万人)で、大きな格差が生じていた
農業労働者         109万8261人
全ての繊維工場の労働者   64万2607人
炭鉱・金属鉱山の労働者   56万5835人
金属工場・金属加工業労働者 39万6998人
召使階級(格差の象徴)   120万8648人
モノが溢れるが価値が増えない
労働者が追い詰められる:出来高払いが管理しやすいし、余剰価値も増大する
資本家は非道なのか?:社会システムの問題であって、資本家は悪ではない

(8)資本主義の発展がもたらすもの
資本構成の高度化:人より機械に投資されていく
資本の有機的構成が高度:機械の構成が高い
資本の集中(企業淘汰や合併)が起こる:富の集中と貧困化が進む
  • この問題を労働運動により解決してきたが、資本主義の暴走の果てである新自由主義により逆戻り(守ったのは資本だけだった)

3 資本論を超えて(マルクスは、どうすれば良いかは書いていない)
  • 便利になっても労働者はその便益を享受できない
  • 生産システムの問題と社会システムの問題とを分ける
  • 無限の価値の蓄積(資本主義の行動原理)とワークシェアリングといったような考え方とのバランス

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