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シンポジウム「日本版バイオ燃料持続可能性基準の策定に向けて」に参加

日時平成21年4月28日
場所アルカディア市ヶ谷(東京都)
用件シンポジウム「日本版バイオ燃料持続可能性基準の策定に向けて」に参加

エネルギー政策におけるバイオ燃料の位置付けと取組み

資源エネルギー庁 燃料政策企画室長 安居 徹 氏
1 新国家エネルギー戦略における石油依存度の低減
現在、日本の運輸部門の石油依存度はほぼ100%の状況
新国家エネルギー戦略(2006年)においては2030年までに80%に引き下げることを目標
80%を実現するため、わが国の強みを活かした次世代バッテリー、燃料電池、クリーンディーゼル、バイオ燃料、IT化等を内容とする「次世代自動車・燃料イニシアティブ」(2007年)をとりまとめた

2 「次世代自動車・燃料イニシアティブ」
(1)エンジン革新
バッテリー:次世代自動車バッテリープロジェクト
  • 普及促進モデル事業の実施、電池安全性評価試験法等の制度整備
  • 2010年コンパクトEV、2015年プラグイン、2030年EV車本格普及を目指す
水素・燃料電池:技術開発とインフラ整備に配慮
  • 水素インフラ整備を念頭に実証試験を実施
  • 2030年までにガソリン車並の低価格を目指す
(2)燃料革新
クリーンディーゼル:低燃費でクリーンへとイメージ一新
  • 関係者連携でイメージ改善、普及推進策、技術開発を着実に実施
  • 2009年以降、世界で最も排ガス規制が厳しい日本市場にもクリーンディーゼル乗用車の本格普及を目指す
バイオ燃料:制度インフラ整備と第二世代バイオ(食料と非競合)
  • バイオ燃料の品質確保のための制度インフラ整備等
  • 次世代バイオ技術開発の加速化。2015年までに40円/リットル
(3)インフラ革新
世界一やさしいクルマ社会構想:IT活用
  • 産学官の検討体制を創設し、実証プロジェクトの具体策を検討
  • 2030年までに都市部の平均走行速度2倍を目指す(現在、東京:18km/h、パリ26km/h)

3 京都議定書の目標達成と新エネルギー導入見通し
  • 我が国は、バイオエタノールを一つの重要な再生可能エネルギーと位置づけている
  • 京都議定書目標達成計画では、2010年までにバイオエタノールを含むバイオ燃料を原油換算50万KL導入することを目指している
  • 長期エネルギー需給見通しにおける新エネルギー導入見通しでは、バイオ燃料を含むバイオマス熱利用は2020年度に約290万KL~330万KL
4 バイオ燃料導入に向けた政策展開
(1)当面の取組み:導入促進のための制度整備
改正品確法の施行(本年)
  • バイオ燃料の混合事業を行う事業者に対する登録制の創設
  • バイオ燃料の混合事業における品質確認制度の創設
ガソリン税の免税措置の施行(本年より5年間)
  • エタノールをガソリンに混合する場合、混合したエタノール分についてはガソリン税を免税
流通体制の着実な整備
  • ETBE、E3についての流通面での品質管理のノウハウ整備等を目的に実証事業を実施し供給体制の整備を促進
(2)今後の課題
課題
  • バイオ燃料の食料との競合
  • バイオ燃料の持続可能な生産・利用(森林破壊への影響など)
  • 供給安定性、経済性
対策
  • セルロース系の第二世代エタノールの技術革新(食料と競合せず、持続可能性の課題も克服できる)
  • 国際的な基準策定への参画



「バイオ燃料持続可能性研究会」とりまとめの説明

三菱総合研究所 主席研究員 井上 貴至 氏
1 EU、EU各国、米国、国際機関(GBEP)等での検討状況
(1)概要
英国、米国で事業者へのバイオ燃料導入義務制度と組み合わせた持続可能性基準の運用が行われている
EUでも持続可能性基準を定めた指令が採択され、加盟各国で具体的な運用が進められる予定
(2)持続可能性基準の視点(環境分野を中心に運用・検討されている)
環境:GHG(温室効果ガス)削減基準、土地利用変化、生態系・生物多様性、水・土壌、大気
経済:資源利用効率、経済発展、技術
社会:食料、労働・賃金、土地・水の権利
(3)EU再生可能エネルギー指令案の概要
バイオ燃料導入目標:2020年10%
持続可能性に関する制度
  • GHG削減:化石燃料に対する削減率35%以上
  • 社会影響:欧州委員会が社会的持続可能性と食料競合について2年毎に報告書提出
基準達成のインセンティブ:認証されたバイオ燃料のみを各国の目標達成量として算定

2 EUにおける運用状況
(1)GHGに関する持続可能性基準
  • 土地利用変化の扱いについてはGHG排出を20年に均等配分して計上する
(2)土地利用に関する持続可能性基準
  • 生物多様性の高い土地で原料生産していない(生物多様性の高い草地を欧州委員会が指定)
  • 炭素貯留の高い土地(湿地や高質な森林等)で原料生産していない

3 我が国における持続可能性基準の適用可能性
(1)GHG削減効果
ガソリン比35%削減の水準を満たすものはブラジルのサトウキビ(サバンナの転換以外)、東南アジアのキャッサバ(土地利用変化なし)、多収量米(エタノール製造時のエネルギーもバイオ)、稲わら・籾殻(エタノール製造時のエネルギーもバイオ)
同50%を満たすものはサトウキビ、多収量米、稲わら・籾殻
現状の効率水準を想定すると、持続可能性基準を満たすバイオ燃料の調達は容易ではない
(2)食料競合(FAOによる予測)
バイオ燃料導入拡大による穀物価格上昇の可能性
途上国において主食の食品価格が10%上昇した場合、ほとんど全ての世帯で負の影響



パネルディスカッション

泊 みゆき  NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事長
  • 化石燃料をバイオマスに置き換えることは出来ないので、エネルギー需要の削減は必須
  • 土地利用転換、食料生産との競合の考慮が必要
  • バイオ燃料より電気や熱での利用が高効率の場合がある
  • バイオディーゼルは小規模で成功しやすい
  • 液体バイオ燃料を成功させるのは難しい
  • 国内では経済性などの面で、廃食油以外はバイオ燃料に不適
斉藤 健一郎  新日本石油㈱ 研究開発企画部 副部長
  • バイオETBE配合バイオガソリンの販売開始(エタノール化)
  • バイオ燃料供給の安定化のため、バイオ原料生産に着手(セルロース系)
大賀 圭治  日本大学 食品経済学科 教授
  • 食糧供給に影響しないバイオ燃料はない
  • 現在は、原料はトウモロコシ(飼料と競合)が主流
  • 原料生産は耕作放棄地の利用から取り組み始めるべき
  • 森林伐採は逆効果
大西 茂志  全国農業協同組合連合会 営農総合対策部長
  • 多収量米を原料としたバイオエタノールを生産しSSで販売(1000kl/年)
  • 水田農業振興、籾殻も活用、残渣は餌や炭で還元
  • 米粉用や通常米に比べると農家の収入は低下
安居 徹  資源エネルギー庁 燃料政策企画室長
  • バイオマスは発電熱利用のほうがCO2削減に有効だが、燃料利用もやり易さや経済性から取り組む意義はある
  • E3の使用(エタノール混合率3%)は車への影響なし(ゴムの劣化などもなし)→CO2削減の即効性あり
  • E10の使用には車の改造が必要
遠藤 順也  農林水産省 バイオマス推進室長
  • 菜の花プロジェクトや廃食油利用などのバイオディーゼルは小規模、バイオエタノールは大規模
  • バイオメタノール(セルロース系から生産)にも取り組む(離島のエネルギーに適する)