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PARC自由学校2007年講座 に参加

PARC自由学校2007年講座 に参加

日時平成19年9月20日
場所PARC自由学校(東京都)
用件PARC自由学校2007年講座 に参加

概要

キューバ・エクスポージャー 報告  (有機農業と医療について)

早川 幸子 氏

1 はじめに
①キューバは「弱いものには優しく」「今あるものを循環させて新しいものを生産する」という当たり前のことを、当たり前にしている社会
(例)公共交通がなく、代わりにヒッチハイクが認められている
②キューバは物事の価値をお金だけで図らない
(例)ヘンリー・リーブ国際救助隊:世界中どこでも駆けつける。2005年のパキスタン大地震では900人もの医師団を派遣。厳しい冬を前にして各国援助団体が撤退する中、半年間も活動した

2 キューバの医療

①医療システム:一次医療(市町村病院)、二次医療(州病院)、三次医療(全国病院)
  • 一次医療では病気予防や健康増進も行なわれる
  • 一次医療では手術が行なわれることもある

②予防医療
  • 患者ひとり一人への指導とともに、集会での啓蒙活動も行なう。しかも、都市部から過疎の村まで平等に行なわれる
  • 予防医療が徹底され、二次、三次医療の大病院のベッドは空いている

③費用
  • がん治療から、心臓移植まで、医療費は全て無料
  • 薬は自己負担だが激安。入院中は薬代もかからない
  • 外国人も無料で治療。途上国から無償で患者を受け入れている

④医療従事者の労働体制 
  • 医師の平均月収は575ペソ(3500円)で特権階級ではない

⑤医師、看護士教育
  • 医学を究めると同時に、人間性を養うことを教えられる

⑥伝統医療
  • 経済封鎖での物資不足を補うために、本格的に伝統医療を始めた

3 キューバの有機農業

①転換点
  • ソ連圏との貿易量の80%を喪失
  • 石油輸入量は半減、原発建設は中止、停電と交通麻痺
  • 医療品の途絶、食料自給率40%の中で輸入食料が半減
  • 国内農業生産の40%ダウン(農薬と化学肥料の8割減、灌漑用水とトラクターの停止)
  • 国内輸送システム麻痺(カロリーベースで30%低下、5万人以上の失明者)

②農薬依存の近代農業を捨て、国をあげて有機農業へ転換
  • 無農薬、無化学肥料で生産性は130%以上アップ
  • 農業の大半を有機農業と環境保全農業へ転換
  • 伝統農法と適正なバイオ技術の組み合わせが成功

③キューバの土づくり
  • ミミズ堆肥づくり
  • 微生物肥料の活用
  • 輪作の復活と緑肥の活用
  • 牛耕の復活(繁殖キャンペーン、2300回の研修)

④病害虫防除
  • 捕食性天敵昆虫と土着菌を利用したバイオ農業
  • 天然殺虫剤ニームと輪作(70年代にIPMを導入し、75年には農薬散布量を半減)
  • 91年に全国プログラム(経済性に応じた防除、農家教育、病害虫防除員ネットワーク)

⑤キューバから学べるもの
  • 有機農業の国家レベルでの唯一の成功事例
  • 熱帯や亜熱帯での有機農業が可能なことを証明
  • 近代技術や資本、化学肥料や農薬を使わなくても、食を満たせることを証明

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