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地球温暖化「世界と日本への影響」 全国消費者大会

地球温暖化「世界と日本への影響」 全国消費者大会

日時平成21年11月17日・18日(2日間)
場所浜離宮朝日ホール(東京都)
全労済ホール(東京都)

11月17日

地球温暖化「世界と日本への影響」

基調講演
IPCC ワーキンググループII 事務局長 クリスティ・イーバイ 博士
オランダ デルフト工科大学 スティーブ 教授

  • IPCCは、より良い政策決定のための情報提供機関である
  • 地球温暖化の淡水資源や食糧生産(漁業や林業も含む)への影響が大きくなっている
  • 温暖化は移民、移住、貧困をもたらしている


研究成果から 1 地球温暖化「日本への影響」
(独)国立環境研究所 肱岡 靖明 氏
(1) 全ての大陸と海洋で気温上昇の影響を受けている
(2) 日本への影響
現在
  • 桜の開花など、生態系への影響がでている
  • 農作物の品質低下や適地の移動が起こっている
将来(2050年~世紀末)
  • 温室効果ガスの削減努力しない場合、ある程度の温度上昇までは一部で好影響もあるが、各分野で様々な影響がでる(例:西日本や太平洋側では、ブナ林の適地はほとんどなくなる)
  • 洪水による影響:削減努力しない場合は年間8.7兆円、努力により温室効果ガスの低位安定の場合でも6.4兆円
  • 森林への影響:努力なしの場合は、森林適域が32%に、努力した場合でも64%
大幅かつ早急な温室効果ガスの削減が必要
  • 温暖化の影響は長期に及ぶ
  • 削減の対策とっても、今後20年間は温度上昇が続く


研究成果から 2 日本における豪雨災害
東北大学 准教授 風間 聡 氏
100㎜/hという豪雨の発生頻度が著しく増加する(主に東北~北海道)
土砂災害
  • 降雨変化に伴い危険地域が変化
  • 2030年過ぎに、被害額が現在の6倍以上になり、2100年頃には13~20倍になる
洪水被害:2030年に年間1兆円


研究成果から 3 地球温暖化の健康影響
筑波大学 教授 本田靖 氏
オーストラリアの事例:干ばつによる農業へのダメージによって、自殺や死亡率が増加
下痢などによる死亡も増加する(アフリカ、東南アジアなど)
熱関連死亡への影響
  • 冬期の死亡率は夏期より高いが、冬期間の気温差による死亡率の変化はない
  • 夏期は、気温の高い日ほど死亡率が上がる → 今後の温暖化による影響が心配




11月18日

第48回 全国消費者大会
私たちはなぜ、安心して暮らせないのか

應義塾大学 教授 金子 勝 氏
1 現代の格差と貧困は、なぜこれほど激しくなったのか
バブル崩壊後の失われた10年 + 小泉構造改革 = 失われた20年
小泉改革が格差と貧困を生み出し、新産業創出もなく輸出系の既存企業だけが儲かり、国際競争力は低下した
消費は産業や労働を変えることができる
その為には小泉改革の総括が必要(金融自由化、市場主義、ゼロ金利、雇用費用の減、環境・エネルギーと農業に後ろ向き)


2 貧困や格差の原因は自己責任なのか

 失われた20年で、地域崩壊、子どもの貧困、国家財政悪化、年金崩壊、少子高齢化進展、医療崩壊などが顕在化し、持続不可能な社会になった

3 みんなで安心して暮らすために
新産業(農業とエネルギー産業)のあり方を消費者が求めていく
社会保障や保育などの問題を地域で解決する
民意集約のルートがない政治の打破


パネルディスカッション  みんなで安心して暮らすために
  • 07年の貧困率は15.7%で6人に1人(OECD30カ国中、メキシコ、トルコ、アメリカに次いで4番目に悪い)
  • 日本のホームレスは16,000人
  • 自殺者の6割が無職者
子供について
淑徳大学 准教授 小木曾 宏 氏
  • 少年院に入る少年の70%は過去に重篤な虐待を受けている
  • 年間4万件の虐待、虐待による死亡は年間100件
  • 家庭で生活することを理不尽に奪われた少年たち(暴力・放任・無視)にとって、安心・安全な場が必要。
  • 無償の愛を授けてくれる大人を持たなかった少年たちにとって、待つ大人がいる場が必要
  • 少年たちにとって、仕事は生きる糧。未熟で傷が癒えない彼らが仕事をしていく力を獲得するには多くの失敗と時間を要するので、就労支援の職場や資格取得の支援制度が必要
  • 子どもの頑張りで何とかなる状態ではない


若者について
NPO法人 自立生活サポートセンター もやい 富樫 匡孝 氏
「もやい」とは
  • 野宿者支援から始まる
  • 保証人提供、生活保護申請同行、20~30代のための居場所作り
  • 相談件数は週50件超
事例から
  • 家族に苦しむ若者たち:「いい若い者が家の中でブラブラして」「おまえが悪いからクビになるんだ」など、現在の雇用情勢を認識できない家族
  • セーフティーネットの未整備:いざとう時にどうすればいいか、誰に聞いても分からない
  • 病院も役所も警察も、誰一人、生活保護の話をしなかった:問題が長引くことのコストを考慮する必要性
  • 自分を支える要素(家庭状況、派遣などの就労状況など)の弱い人ほど生活ができない状態に陥りやすい


高齢者について
NPO法人 ほっとポット 宮澤 進 氏
ほっとポットの活動
  • 生活困窮者支援が2年半で1000件超
  • 職員は全て社会福祉士か精神保健福祉士で、個々の多様な生活課題に適切な福祉・法律などの社会資源をコーディネートしている
  • 住居喪失した方に、1年を目安に部屋を提供し、自立を目指す
活動を通じて見える貧困
  • 健康で文化的な生活(生存権保障)はどこにいったのか
  • 「H20犯罪白書 高齢犯罪者の実態」によると、窃盗事犯者の犯行動機として、生活困窮が66%、空腹が19%:犯罪に至る前に機能すべきであった福祉の相談専門機関が機能していない(制度と情報の貧困)→ 一般社会には見えにくい
  • 高齢者、障害者、病弱者、子供が真っ先に被害を受けている

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