長岡市議会では議会活性化特別委員会を立ち上げて一般質問について検討しており、一問一答方式を見直すべきとの意見もあります。
これを機に、無所属系議員(無所属クラブ3人+無所属4人)で、議会関係者の間では有名な廣瀬和彦先生をお招きして勉強会を開催しました。
以下は講演録です。
二元代表制の問題点
①首長が議会での多数派形成に注力する:議会の議決がなければ首長は円滑な
行政運営を行うことが難しいから
②首長が政策の方向性を打ち出すのに対し、議会は個所付けや口利きに向か
いがち:首長はマクロ、議会はミクロとすみ分けてしまう
質問手法
①一問一答方式が望ましい
・これまでの地方議会は一括質問・一括答弁だったため、一問一答に切り
替えるる猶予期間として質問方式を選択制とする議会は多いが、最終的
には全議員が一問一答で行うべき
・728/815市(89.3%)が一問一答方式を実施。一問一答方式を廃止した
自治体は聞いたことがない
②「一般質問は要望や意見の表明で終えず、その発言の最後は質問形式で終
わることとする」との長岡市議会の申し合わせ
・質疑については意見や要望は表明できないが質問では可能。ただし、質
問せず答弁も得ない事項に対する意見や要望は認められない
③一問一答方式のメリット・デメリット
・メリット
傍聴者が理解しやすい
論点や争点が明確になる
答弁漏れが少なくなる
・デメリット
同じ質問が繰り返される場合がある
執行部の答弁の負担が増加
④一括質問・一括答弁のメリット・デメリット
・メリット
議事が円滑に進む
執行機関が答弁を準備しやすい
・デメリット
質問と答弁に時間的距離があり分かりづらい
演説調になりやすい
答弁漏れが起こりやすい
効果的な質問を行うポイント
①当該地方公共団体における施策や事業の取り組みや進捗状況・実施時期・
方針・予定だけを確認する質問(講師が長岡市議会の議事録を確認したと
ころ、この種の質問が多いとのこと)
・このような質問は議場で行う必要はなく、事前に執行機関に聞くか資料
をもらえばよい
・質問を深める(議員自身の意見を述べる)前段として聞くならよいが、
答弁に納得して終わるのであれば質問の意義に疑問
・そもそも、市民が必要とする情報は市の広報紙やHPを通じて開示されな
ければならない → 講師によると、長岡市の情報発信は不十分
②質の向上
別海町議会は一般質問検討会議を設置
議長に質問通告した後に質問者は質問の意図や課題等を全議員の前で説
明し、他の議員と意見交換することにより、問題意識や質問のゴールを
検討・共有する
③質問議員の個別的・地域的事項に基づく質問
議員は当該地方公共団体全体の代表であり、特定の団体や地域の代表とし
ての利益追求は不適当。ただし、一地域の問題が全体の問題と関連するな
らば一つの事例として質問することは可能
④議員の政治信条等の表明のみに終始する質問
質問せずに自身の持論だけを述べてはならない
⑤当該地方公共団体が関与できない事務に関する質問
・議員が所属する団体の事務以外のことを一般質問で聞くことはできない
・国の施策や法律について首長に質問しても権限がないので答弁のしよう
がない
⑥先進地の事例を取り入れることを要求する質問
・他団体の成功事例が当該団体の成功につながるとは限らない
・執行機関は万が一の失敗を恐れてエビデンスに基づかない施策は簡単に
採用しない
⑦住民の意見要望をそのまま述べる質問、住民の意見要望に基づかない質問
・住民の意見要望を把握することは重要だが、そのまま執行機関に伝えれ
ばいいという訳ではない(単なるメッセンジャーではない)
・住民の意見要望を基礎としない質問はもったいない
⑧答弁に対する御礼
・首長と議会は対等なので、質問と答弁はお互いの役割であるから、答弁
にいちいち御礼を述べることは不適当
・御礼を述べる場面はあり得るが、過剰な感謝は耳障り
⑨完璧な事前調整による朗読質問
詳細にすり合わせ、想定外の質問を一切しなければ質問・答弁は安定す
るが、聞く市民はしらける場合が多い
⑩批判だけの質問、まったく批判のない質問
・批判は重要であるが、解決策を示さない質問は前向きな議論とならない
可能性が高い
・批判や指摘をしない質問は、問題ない行政運営を示すものであるから、
議会の必要性に疑問が生じる
⑪重箱の隅をつつく質問、枝葉末節にこだわり過ぎる質問
・一般質問は行政全般について議員が大局的な観点から建設的な意見を執
行機関との間で議論する場
・細部にわたる数値等の確認は、質疑で行えるのであればそちらで行う
⑫答弁事項進捗状況調査(伊達市議会)
「検討する」等の答弁を受けた議員が、検討結果の報告を求める制度